( 318673 )  2025/08/24 05:22:00  
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一部FC店には、既に屋号を変えて営業しているところも 

 

 「有名人多数来店」と謳ったSNSの広告宣伝で業容を急拡大していた整体院運営のFilament(TDB企業コード:678050127)が突如、直営店の営業を停止した。一方、FC店は通常通り営業している。一体何が起こっているのか。帝国データバンク情報統括部がその背景を追った。 

 

 当社は、2014年に代表のA氏が宮崎県で整体業をスタートし、独自開発の「骨膜整体」が口コミで広がるほかメディア等でも取り上げられて事業を拡大してきた。2020年には、整体院「整体Filament」の屋号で東京店・大阪店・福岡店をオープン。以降、「整体LIGHT」等の別ブランドも立ち上げて、直営店46店舗、FC店約60店舗(2025年4月時点)まで急速に業容を拡大し、売上高は3年間で10億円を超える規模に伸長していた。 

 

 代表のA氏は、YouTubeで個人チャンネルを開設して70万人以上の登録者数を有するほか、複数の著書も出版。代表個人の発信力やSNSでの有名人コラボによる新規顧客の獲得、施術スタッフの雇用を強みとしていた。院内には有名人らのサインが並び、HPでは「東京進出3年で芸能人御用達に」とのフレーズが強調されていた。 

 

 ところが、2024年の末、経営面に亀裂が入る。株主のひとりが、SNSで代表A氏を告発。資金繰りが厳しいなかでの高額な役員報酬や勤務実態のない身内への給与支給等を指摘した。さらに同株主は、回数券ビジネス(利用者が前払いで回数券を購入するビジネスモデル)である当社の資金繰りを危惧して、A氏の解任を求めていた。その後、A氏が自身のYouTubeチャンネルで謝罪し、代表を続投することで騒動は収まったかに見えた。 

 

 だが2025年7月末、事態は急変する。会員顧客に対し突然、複数店舗の公式アカウントから、「8月1日をもって直営店の営業を停止する」との通知が届き、一部SNSで拡散された。通知には「会社の経営悪化により、従業員への給与未払が続いている」との記載も。また、「回数券を購入したばかりなのに店舗と連絡が取れない」との投稿が散見され、関係者や利用者の混乱ぶりがうかがえる。 

 

 8月上旬、帝国データバンクは当社の本店を訪問したが、インターホンに応答はなかった。近隣の店舗は閉院、人の気配はない。その他の都内の複数店舗に架電、訪問すると、「うちはFC店なので通常営業」「他店舗の状況は分からない」とされた。 

 

 今年4月ごろから給与の支払いに異変が起きていたとも聞かれる。10回分の回数券を購入したという利用者は、「4回しか消化していないのに公式アカウントから営業停止の連絡がきた。それまでに違和感等は感じたことはなく、本当に突然だった」と驚いていた。 

 

 当社の突如の営業停止。利用者・FC店など関係者への対応は決して十分とは言えないなか、今後の動向が注目される。 

 

(「帝国ニュース日刊版」2025年8月20日号掲載「TOPICS」より、一部再編加工) 

 

 

 
 

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