( 318691 )  2025/08/24 05:46:09  
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近年、駅や路上で通行人に体当たりする男性「ぶつかりおじさん」が社会問題となっている。

被害を受けた女性がその経験をネットで共有したり、逮捕事例も増える中、「ぶつかりおじさん」という表現がその悪質さを伝えきれていないと感じる声も多い。

女性たちの体験によれば、特に小柄な人を狙う傾向があり、実際に体当たりを受けた後に怪我をするケースも報告されている。

このような行為はSNSで話題になりつつ、より強い表現が求められている。

周囲の人々にも、被害を見て見ぬふりをせず、注意を促すことが求められている。

(要約)

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「ぶつかりおじさん」に戦々恐々(イメージ) 

 

 近年社会問題となっているのが、駅構内や路上において、通行人に体当たりをしてくる男性の存在だ。ネット上やメディアでは「ぶつかりおじさん」「ぶつかり男」などと呼ばれ、暴行事件として逮捕に至るケースもある。 

 

 今年7月、ある女性ネットユーザーがXに、《ぶつかりおじさんに転ばされて頭を打った時に助けてくださった皆さま、犯人を捕まえてくださった皆さま、ありがとうございました。楽しい1日になるはずが申し訳ございません》と投稿し、ネット上で大きな話題となった。東京ドームでのコンサートを観覧していたというこの女性は、退場時に“ぶつかりおじさん”による被害で転倒して頭部を打ち、病院で治療を受けたという。 

 

 また、今年4月から5月にかけては、福岡県の大学准教授の50代の男が、暴行罪で3度にわたり逮捕されている。男は通勤中の路上で、通行人とのすれ違いざまにバッグをぶつけていたという。この事件は、複数のメディアで“ぶつかりおじさん逮捕”と扱われた。だが、“ぶつかりおじさん”という呼称では、その悪質さが伝わらないという声も出ている。被害に遭ったことがあるという女性たちに話を聞いた。 

 

 ネット上で頻繁に話題となる「ぶつかりおじさん」。そのターゲットになりやすいのは、主に女性だ。埼玉県在住で都内の企業に毎日通勤するAさん(20代女性)は、「日常茶飯事」だと明かす。 

 

「私は身長が150cmに満たず、小さいので特に人混みでは視界に入らないのか、よくぶつかられます。ただ、なかには明らかに故意にぶつかられることも多いです。たまたま目に入らなかったというレベルではなくて、絶対に私がいるとわかっているのに、“見えていないフリ”で突撃してこられたり、後ろから追い越す時も、体の半分ぐらいぶつけてきたり……。被害に遭う場所は、駅のホームや階段、電車の乗り降りの瞬間ですね。体当りしても混雑していて私が追ってこないとか、逃げ切れるとか思っているんじゃないでしょうか」 

 

 対応策としてAさんは、「なるべく1人で人混みに行かないようにする、駅のホームではなるべくベンチに座る、乗り降りは人と距離を取るなどで自衛するしかない」と言う。 

 

 

 そんな「ぶつかりおじさん」の傾向としてよく指摘されるのが、“弱そうな人”をターゲットにするということだ。一見おとなしそうな女性や中高生が被害者となるケースが多く、SNSでは、小柄でも金髪や赤い髪など、派手な髪色にしていたり、タトゥーが入っていたりすると、被害にあう頻度が減る――といった体験談が報告されている。 

 

 都内に勤務する会社員のBさん(20代女性)は、身長168cmで体格もいい。「自分とは無縁と思っていた」というが、先日「ぶつかりおじさん」に初めて遭遇した時の衝撃を振り返る。 

 

「男性にぶつかられるのは、正直小柄でおとなしい印象の女性というイメージだったんです。私は背が高いほうで髪は短く、しかも体はずっとバスケをやってきたこともあって、筋肉質。正直ぶつかりおじさんとは無縁だと思っていました。でも、先日出張帰り、終電で最寄り駅に着き、徒歩15分ほどの家までキャリーケースを引いて歩いていた時、真正面から中年男性に勢いよく体当りされたんです。歩きスマホをしていたわけでもないし、まさかそんな直球で人がぶつかってくると思っていなかったので、一瞬何が起こったのかわかりませんでした」 

 

Bさんは、「“ぶつかりおじさん”とは、すれ違いざまにちょっと肩がぶつかるとか、追い越しざまにカバンがぶつかるとか、そういう程度だと思っていた」という。 

 

「完全に正面からドスンと体当りしてきて、わき目も振らずに去っていきました。“ぶつかりおじさん”というよりも“当たり屋”で、私はよろけて無線イヤフォンが吹っ飛びました。いつもならそんな目に遭わないのに、私がその日、疲れて大きな荷物を引きずっていたからなのかなと思うと、本当に“弱っている”人をめがけて来ているわけですよね……」(Bさん) 

 

 Bさんのイヤフォンは見つからないまま。「ぶつかりおじさん、なんて生ぬるい言葉はやめたほうがいい」とBさんは憤る。 

 

 

 駅や路上でぶつかってくる男性の存在は以前からSNSで話題になっていたが、2018年に新宿駅構内でわざと女性にぶつかってくる男性の動画が「ぶつかり男」「ぶつかりおじさん」などとしてSNSで拡散。それが地上波のニュース番組などでも取り上げられ、「ぶつかりおじさん」という言葉が定着してきたようだ。 

 

 しかし、前出のBさんのように、「ぶつかりおじさん」という呼び方が、悪質な実態とかけ離れていると感じる人は少なくないうようだ。 

 

 Xでは、 

《ぶつかりおじさんとかマイルドな表現じゃなくシンプルに暴行犯だろ…》 

《ぶつかりとかふんわりした言い方やめよう!当たり屋おじさんだよ奴らは。暴行だからね》 

《ぶつかりおじさんはもう通り魔暴行犯って呼び名でいいと思う。ふつうに傷害の犯罪者だし》 

 など、その呼び方に違和感を抱く声も多数確認できる。 

 

 社会問題化しつつある駅や路上でのぶつかり行為。前出のAさんは「周りの人も見て見ぬふりをしないでほしい」と訴える。 

 

 

 
 

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