( 319038 )  2025/08/25 07:27:51  
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戸籍法改正により、名前にふりがなをふることが義務付けられた。背景には、いわゆる「キラキラネーム」や「DQNネーム」と呼ばれる名づけをめぐる社会問題の拡大がある。 

 

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法務省「家庭裁判所における名の変更許可件数」(2023年)によれば、近年の改名申立件数は年間およそ4000件前後で推移している。人口比にすればごくわずかだが、そこには深刻な理由を抱えた人々の存在がある。 

 

子ども相談員の白尾里子氏はこう話す。 

「名前は社会性の高いものです。多くの場合、名前を呼ぶのは自分ではなく他人です。だからこそ、その響きや意味がからかいの対象になりやすい。名付けは親のエゴではなく、子どもの人生を長期的に考えた上で決めて欲しいと思います」 

 

子どもの名前は本来、親の自由な意思でつけられるが、同時に“社会で生きていくためのラベル”でもある。 

「極端に奇抜な名前は、本人の意思とは無関係に偏見やからかいを招きやすい。結果として、学業や就職といった人生の節目で不利益を受けるリスクがあるのです」 

 

その一方で、名づけに対する親世代の意識には「多様性」や「個性を尊重したい」という価値観が影響している。良かれと思って名付けた結果、子どもが社会で苦しむという逆転現象も少なくない。 

 

近年は著名人の子どもの名前が話題になることも多い。例えば先日出産したタレント・辻希美さんの次女の名付けでは、兄姉が「キラキラネームはやめてほしい」と希望したと報じられた。子ども自身が“名前を理由にからかわれる現実”を認識していることを示す象徴的な出来事だろう。 

 

SNSの普及も、この問題を加速させたと白尾氏は話す。 

 

「珍名ランキング、DQNネームといった投稿が拡散され、名付けが笑いものとして消費される。ときに本人が傷つく形で名前が取り沙汰され、差別的なレッテルを貼られることもあります」 

 

今回取材した女性も、まさにその“被害”を受けてきた一人である。幼少期には何の違和感もなく過ごしていたが、成長するにつれ、その名が周囲からのいじりや偏見を呼び、人生を大きく揺さぶることとなった――。 

 

「遊女と書いてユナと呼びます。読みだけで言えば普通ですが意味を検索すると…お察しの通りです。両親は知ってなのか知らずなのか、わかりません。一度聞いたことがあるけれど、回答は面白いからいいじゃんと。愕然としますよね」 

 

さらに驚くのが兄弟揃って皆、とんだキラキラネームだというのだ。 

 

「どうしてこんな名前をつけたのか問うても、ヘラヘラしていて、なんか会話にならない。何も考えていないんでしょうね…。私は名前を変えることにしました。コレまで酷いいじめに会ってきましたし、偏見を持たれてきました。こんな名前じゃ生きていけないですよ、本当に」 

 

彼女の兄弟のドン引きネームは【関連記事「知っててつけたの?」兄弟の信じられない名前の真相。親のレベルが知れる名付けのリアル】でお読みいただける。 

 

 

 

【取材協力】子ども相談員|白尾里子氏 【聞き手・文・編集】常田真悠 PHOTO:Getty Images 【出典】法務省「家庭裁判所における名の変更許可件数」(2023年) 

 

 

 
 

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