( 319208 )  2025/08/26 06:05:12  
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aomas/shutterstock.com 

 

日本では物価上昇が続く中、「生活が苦しい」と感じる世帯が増加していますが、一方で、株価の上昇や少子化による相続などを背景に、「富裕層」とされる世帯数は年々増えているのが現状です。 

 

「富裕層」と聞くと、高級車や高級ブランド、広い住宅などを思い浮かべる方も多いかもしれません。 

 

しかし実際には、ブランドよりも体験に価値を見出す人や、収入が高くても支出を抑える姿勢の人も少なくありません。 

 

では、どの年収ラインからお金を気にせず使うようになるのでしょうか。 

 

本記事では、経済的にゆとりのある層の「お金の使い方」に注目し、その特徴を詳しく解説します。 

 

また、資産額を基準とした「富裕層の定義」についても紹介していますので、ご自身の状況と照らし合わせて参考にしてみてください。 

 

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まずは、資産額を基準とした「富裕層の定義」について確認していきましょう。 

 

株式会社野村総合研究所では、世帯が保有する金融資産の合計から、不動産購入時のローンなどの負債を差し引いた「純金融資産保有額」に基づいて、全世帯を以下の5つの階層に分類しています。 

 

この定義によると、純金融資産が1億円以上5億円未満の世帯が「富裕層」に該当します。 

 

 ・マス層:3000万円未満 

 ・アッパーマス層:3000万円以上5000万円未満 

 ・準富裕層:5000万円以上1億円未満 

 ・富裕層:1億円以上5億円未満 

 ・超富裕層:5億円以上 

では、資産1億円超のお金持ちは日本にどれくらいいるのでしょうか。 

 

●【富裕層】資産1億円超のお金持ちは日本にどれくらいいる?  

株式会社野村総合研究所の調査によれば、純金融資産が1億円以上ある「富裕層」は2023年時点で165万3000世帯にのぼり、2021年の148万5000世帯から11.3%の増加となりました。 

 

内訳を見ると、富裕層が153万5000世帯、超富裕層は11万8000世帯となっています。 

 

なお、富裕層および超富裕層の合計世帯数は、調査が始まった2005年以降増加を続けており、それぞれの世帯数も2013年以降は一貫して右肩上がりの傾向が見られます。 

 

そんな富裕層が多くなっている現代において、高額所得者層の「購買スタイル」も変化しつつあります。 

 

次章では、経済的にゆとりのある層の「お金の使い方」について見ていきましょう。 

 

 

プレミアムクレジットカードブランド「ラグジュアリーカード」では、高額所得者層を次の3つのカテゴリーに分類しています。 

 

 ・年収2000万円以上2500万円未満:上流層の入り口 

 ・年収2500万円以上3000万円未満:アクティブ・ラグジュアリー層 

 ・年収3000万円以上5000万円未満:本格的な上流層 

この3つの層(年収2000万円以上〜5000万円未満)を対象に、ラグジュアリーカードはライフスタイルに関する調査を実施しました。 

 

調査の概要は以下のとおりです。 

 

 ・調査名:「ラグジュアリーカード会員 ライフスタイルに関する調査」 

 ・調査期間:2025年4月23日〜5月7日 

 ・調査方法:インターネット調査 

 ・対象者:ラグジュアリーカード会員様のうち個人年収2000万円以上5000万円未満の方 

 ・有効回答:262名 

上記調査で、新富裕層が月々の自由に使える金額として最も多かったのは、50万円以上100万円未満の層でした。 

 

一方で、年収が3000万円を超えると、100万円以上200万円未満、さらには200万円以上300万円未満といった高額の可処分所得層の割合が増加する傾向にあります。 

 

年収に比例して可処分所得も増える傾向が見られ、3000万円未満では50万〜100万円未満が中心だったのに対し、それを超えると100万円超の割合が目立ってきます。 

 

さらに、どの年収帯でも「ある程度の余裕はあるが、無駄遣いはしないよう心がけている」との回答が6割を超えており、収入額にかかわらず計画的な支出を重視している傾向がうかがえます。 

 

では、こうした経済的に余裕のある人たちは、年収がどの程度を超えたあたりから、お金を気にせず使えるようになったのでしょうか。 

 

●年収いくらから「気にせずお金を使うようになった?」 

ラグジュアリーカードが年収3000万円以上の層を対象に実施した調査によると、消費意識の変化を感じたタイミングとして、年収2000万円と3000万円のあたりが大きな節目となっていることが示されました。 

 

さらにカード会員へのインタビューでは、年収2000万円を超える頃から支出に対する細かな配慮が薄れ始め、年収3000万円を超えると金額を気にせず使えるようになったとの声が多く寄せられています。 

 

これらの結果から、消費行動における変化の段階は「年収2000万円」と「年収3000万円」の二つのステージで現れることがわかります。 

 

また、同調査では、年収2000万円超〜2500万円未満の層が消費行動に変化を感じ始める段階である一方で、約6割が引き続き節税を意識しています。 

 

この結果から、年収2000万円台前半の層では、一定の経済的なゆとりを持ちながらも、支出には慎重さを残した堅実な消費傾向が見て取れます。 

 

新富裕層の中でも、年収2000万円台では依然として節税を重視した堅実な消費傾向が多く見られるのに対し、年収3000万円を超える頃からは、消費行動にやや変化が見られます。 

 

では、そのような新富裕層は、具体的にどのような分野にお金を使うようになるのでしょうか。 

 

 

ラグジュアリーカードの調査によると、自身のお金の使い方に対する価値観は年収層によって大きく異なる傾向が見られます。 

 

具体的なデータを見ると、年収2000万円以上2500万円未満の「上流層の入り口」では、「品質やブランドを重視する」と「体験を重視する」がいずれも約3割を占めています。 

 

さらに「コストパフォーマンスを重視する」といった声も一定数あり、消費に対する価値観が分散しているのが特徴です。 

 

その中間層にあたる年収2500万円以上3000万円未満の「アクティブ・ラグジュアリー層」では、体験を重視する傾向が最も強く見られ、ブランドに対するこだわりは比較的薄い一方で、コスパを意識する意見が多く見受けられます。 

 

また、この層は「資産形成」と「体験」のどちらを優先するかという問いに対しても、「今この瞬間の体験に投資したい」と回答した割合が他の層より高く、「未来より現在の充実」を重視する価値観が際立っていました。 

 

一方、年収3000万円を超える「本格的な上流層」になると、体験重視の姿勢は保ちつつも、コストパフォーマンスへの関心は次第に薄れ、自分の価値観に沿った選択を重視する傾向が強まっています。 

 

●年収3000万円超の層は「自分を高めるための成長投資」が中心 

ラグジュアリーカードの調査によると、ハイブランドや高級品を購入する理由として、年収3000万円未満の層では「日常生活をより快適に、豊かにするため」と答える人が最も多く、生活の質を高めることが主な目的である傾向が見受けられます。 

 

一方で、年収3000万円を超える層になると、「自己実現や満足感を得るための自己投資」としての購入が最多となり、消費の目的が「日常の充実」から「自身の成長」へと移行していることが明らかになっています。 

 

実際に、ハイブランドを通じて関わるコミュニティが変化したり、その環境に見合った自分であるために、より高品質なものを選んで購入しているという声も寄せられました。 

 

このように、年収3000万円を超える層においては、日常の快適さを追求するフェーズから、自分を磨くための投資へと、消費の方向性が変化しているのです。 

 

 

本記事では、経済的にゆとりのある層の「お金の使い方」に注目し、その特徴を詳しく解説していきました。 

 

日本における富裕層は、「純金融資産1億円以上」を保有する世帯と定義されており、この層は過去10年以上にわたり着実に増加を続けています。 

 

その背景には、株価の上昇や円安の長期化など、複数の要因が影響していると考えられます。 

 

また、高所得者層では「モノ」よりも「体験」や「人との関係性」に価値を見出す傾向が顕著であることも調査で明らかになりました。 

 

中でも、年収2500万円以上3000万円未満の「アクティブ・ラグジュアリー層」は、自分らしいライフスタイルの中で今この瞬間の体験価値を追求する姿勢が強く見られます。 

 

これからの時代において、「お金の使い道」はその人の価値観や生き方を表すものとなっています。 

 

今一度、自身のライフステージや目指す生き方に合わせて「お金との向き合い方」を見つめ直してみるのも良いかもしれません。 

 

 ・Black Card I株式会社 ラグジュアリーカード「【新富裕層のライフスタイル調査】消費行動の転換点は年収2,000万円と3,000万円の2段階! 体験と関係性の投資に積極的な「アクティブ・ラグジュアリー層」の実態が明らかに」 

 ・株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」 

 

マネー編集部ウェルスマネジメント班 

 

 

 
 

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