( 319223 ) 2025/08/26 06:21:47 0 00 JALとANA機
国内航空大手が、国内線の路線網見直しを進めている。10月以降のダイヤ改正で、競争力が高い羽田―札幌線などを増便する一方、新幹線と競合する路線や地方間を結ぶ路線で減便・運休する。出張利用の減少や地方の人口減を受け、路線網見直しによって収益改善を図る。
ANAホールディングス(HD)は、冬ダイヤ(10月~来年3月)で羽田―小松線を1日4往復から2往復に半減する。この路線は2014年度に年間約88万人が利用したが、北陸新幹線が15年3月に金沢まで延伸し、24年度は約36万人に落ち込んだ。平均搭乗率も68・4%と、ANAの国内平均74・9%を下回った。
山陽新幹線と競合する伊丹―福岡線も5往復に1往復減らす。期間限定ではなく需要が回復しなければ、便数を戻さない方針だ。
日本航空は1日2往復している福岡―仙台線と、1往復の福岡―花巻線を冬ダイヤで運休する。代わりにフジドリームエアラインズ(静岡市)が路線を引き継ぎ、日航が共同運航(コードシェア)に参加する。
一方で、ドル箱路線の羽田―札幌線については、ANAが1往復増やして18往復とし、日航も来年1~2月の期間限定で1往復増の18往復とする。ANAは羽田―福岡線も1往復増やして20往復とする計画だ。
航空大手が路線網を見直すのは、人件費や整備費が高騰し、収益が悪化しているためだ。国土交通省の分析では、空港使用料の減免など公的支援を除いた場合、国内主要6社の国内線事業は25年3月期に実質的な営業赤字だった。26年3月期も「国内線は赤字になるだろう」(ANAHDの中堀公博取締役専務執行役員)と厳しい状況が続く。
一方で、新幹線との競合により値上げは難しい。国内線の旅客1人当たりの単価は10年以上、ほぼ横ばいが続く。日航は25年4~6月期に整備費など営業費用が7%増えたが、旅客当たりの単価は5%下がった。
航空大手は、訪日客の増加で好調な国際線で収益を確保しているが、国内路線網を全て維持するのは難しくなっている。国交省は5月に設置した有識者会議で航空大手と国内路線維持に向けた対応策を検討している。
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