( 319636 )  2025/08/28 03:35:22  
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町内会の加入率が減少しており、その存続が懸念されています。

加入者からは安心感や地域のつながりを評価する声がある一方、退会を希望する人々も多く、負担やトラブルがその理由として挙げられています。

現在、町内会の役割は情報共有や防犯活動、地域イベントの運営等で重要ですが、加入率は2023年には41.4%にとどまり、特に集合住宅において未加入者が増加しているのが課題です。

最近の調査では、約8割の人が町内会を辞めたいと思ったことがあるとの結果もあり、悩みの種として役員や会費、清掃活動への参加が挙げられています。

町内会の機能として災害時の安否確認が重要である一方、デジタル活用や業務の簡素化が存続への解決策となるとされています。

(要約)

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町内会について街の声 

 

地域社会を支える『町内会』の加入率が下がっています。加入者の減少で、町内会の存続が懸念されています。町内会をめぐるトラブルがある一方で、防災の要としての役割についても見ていきます。 

 

町内会について、街の声です。 

町内会に加入している40代女性「仕事をしているので、子どもだけが家にいる時間があるが、(町内会に入っていると)近所の人が見てくれているという安心感がある」 

 

町内会に加入している70代女性「(うちの町内会は)ほとんどが高齢者。清掃活動も体が不自由、足が悪いなどで、出てこられない人が多い。町内会がなくなると、情報が入ってこなくなるし、特に災害や防犯面で近所付き合いは大事」 

 

町内会を退会した人の意見 

 

町内会に加入している40代女性「子ども同士の交流があるかと思い(町内会に)入ったが、実際はなく、交通安全活動もただしゃべっているだけ。町内会を抜けたいが、顔が知られているので抜けづらい」 

 

町内会を退会した50代男性「(町内会の)会員が減り、公園の草取りや、祭りの準備などの行事が回らなくなった。以前より負担も増え、町内会を続けるのが厳しくなった。地域に対して、責任感がないとやっていられない」 

 

町内会とは?どんなことしている? 

 

そもそも町内会とは、一定の地域内の住民により形成された、地縁による住民自治組織です。任意の団体なので、加入は強制ではありません。現在、全国で約29万の町内会が存在しています。 

 

町内会では、どのようなことをしているのでしょうか。 

●回覧などでの情報共有 

●防犯・防火パトロール 

●ゴミ置き場の管理や地区の清掃 

●地域のお祭りの運営 

などです。 

 

町内会等の加入率の平均 

 

しかし、全国での加入率は年々減少傾向で、2021年度には、71. 8%。東京都の加入率は、2023年で41. 4%でした。 

放送大学で都市社会学・地域社会学が専門の玉野和志教授によると、「東京の加入率が低い要因の1つは、集合住宅の未加入者の増加」だということです。 

 

集合住宅での町内会未加入者が多い理由 

 

なぜ集合住宅での町内会未加入者が多いのでしょうか。玉野教授によると、一般的にはマンションなどの集合住宅の場合、 

●集合住宅全体で、地域の町内会に加入するパターンと、 

●集合住宅全体で、独自の町内会を設立するパターン、 

2つのパターンが多いということです。 

しかし、実際に町内会に加入するかどうかは、それぞれの住民の任意に委ねられています。 

 

管理組合との違いです。管理組合は、集合住宅の購入者全員が構成員となり、必ず加入するもので、建物とその敷地や施設の維持・管理を目的としています。 

一方、町内会は、地域のつながりの構築や、住みやすいまちづくりなどを目的としています。 

玉野教授によると、「集合住宅の場合、居住環境のことなどで困ったことがあっても、管理組合が対応をしてくれるため、町内会には加入しないという人も増えている」ということです。 

 

 

町内会辞めたいと思ったことある? 

 

さらに、『町内会を辞めたいと思ったことがあるか』という質問に、約8割が、「辞めたいと思ったことがある」と答えた調査結果もあります。 

 

町内会の何がストレスか 

 

辞めたいという人は、町内会の何がストレスなのでしょうか。 

●役員になること 

●町内会費を払うこと 

●清掃活動への参加 

ということです。 

 

実際に、2025年の3月末、神奈川県川崎市の武蔵小杉駅近くの町内会で、役員の後継者が見つからず、存続が難しいと判断し、町内会が解散されています。 

 

町内会トラブル 

 

町内会をめぐるトラブルです。北陸地方在住のAさん(50代)のケースです。2020年に現在の自宅に引っ越し、町内会に加入しました。 

2025年1月、自宅の郵便受けに町内会から手紙が入っていて、『役員を引き受けて下さり、ありがとうございます』と書いてありました。後日、Aさんは、町内会長と班長に、「子どもが小さく、夫の勤務も不規則なので(役員は)できません」と、家庭の事情を理由に断り、町内会の退会も申し出ました。 

その際、「役員は順番だから、(町内会を)やめるとか言わないで」と言われました。その日以降、町内会長と班長が、数日間、毎日Aさんの自宅に来て、「あなたが役員をやらないと、みんなやらないと言い出すから」と説得されました。 

退会について、納得してもらえないので、Aさんは、市長へメールで訴えました。しかし、その返信は、『町内会と話し合って、解決してほしい』という内容でした。 

 

町内会退会を伝えると会長が激怒 

 

そこで、町内会長の自宅へ出向き、再度、退会を伝えたところ、「(退会するなら)町内会で作ったゴミ箱だから使わせない!町内会に入らないなら、この土地から出ていってもらう!」と激怒されました。 

Aさんの自治体では、町内会単位でのゴミ回収が原則です。ゴミが出せなくなるので、Aさんは、何度も市役所に相談して、自分でゴミ箱を設置して、出してもよいと許可を得ました。 

その後、Aさんの町内会の退会の可否を決める会合で、「町内会を抜けたら、あなたの子どもも爪はじきになるから!」と嫌味を言われたり、叱責されたりしましたが、Aさんは退会できました。 

 

 

入会拒否で日常生活に影響 

 

関西在住のBさん(40代)のケースです。Bさんは2022年の秋、現在の自宅に引っ越しました。2023年5月、自宅の郵便受けに、町内会から案内が入っていて、『入会金 12万円』『会費 6000円(半年)』と書かれていました。 

Bさんは、 

●12万円は法外 

●仕事でイベントなどに参加できない 

●当番が回ってきてもできない  

など、高額入会金に納得できなかったのと、仕事の都合もあり、入会を断ることにしました。 

後日、町内会の役員が来て、Bさんが(町内会に)入会しないと告げると、「ゴミを出させない!」「広報誌も配ってやらない!」と、高圧的な発言をされたということです。 

Bさんは、ゴミが出せないので、車で実家に行き、実家のゴミ出しの日に一緒に出しています。 

 

町内会が災害時に果たす役割 

 

町内会には、必要な側面もあります。災害時の町内会の役割です。 

●住民の安否確認 

●避難誘導 

●避難所の運営 

●被害状況の報告 

など、災害時の“最初の一歩”を担う存在です。 

 

わずか30分で安否確認できたケースも 

 

わずか30分で安否確認ができたケースがあります。2011年の東日本大震災時、仙台市の鈎取ニュータウン町内会では、すべての世帯に黄色い旗を配り、世帯全員の無事を知らせるよう、災害時の安否確認のために使っていました。 

震災の時には、町内の8割の世帯が黄色い旗などを掲示したため、地震発生から約30分で、町内全員の安否確認ができたということです。 

 

熊本県人吉市の下薩摩瀬町町内会では、大学と共同で町内にカメラを設置していて、雨が降った時に15分に1回、10秒程度の動画がLINEで送られてきます。このLINEには、現在約150人が登録しているということです。 

町内会長の赤池謙介さんは、「住宅地の入り口の道路に設置しているため、大雨時、避難の判断に役立っている」と話しています。 

 

町内会解散でゴミが出せない? 

 

町内会が解散したことによる混乱です。2024年3月末、神奈川県の藤沢市の北組町内会が解散して、町内会が設置していた、資源ゴミの集積所5カ所が廃止になりました。 

そして、2024年4月からは、段ボールなどの資源ゴミの回収ができない状態となり、住民は、環境事業センターまで資源ゴミを出しに行かなければならなくなりました。 

集積所が廃止となった後、藤沢市には、ゴミを出せなくなった住民からの問い合わせが殺到。藤沢市は、新たな集積所を設置するために、急きょ、特例を設けることにしました。 

この特例を使い、3カ月以上の時間をかけて、集積所を6カ所設置しました。 

藤沢市の担当者は、「今回のような事態は初めてだったので、かなり困惑した。集積所がなかった間は、高齢者など住民にかなり負担になったと思う」と話しています。 

 

 

町内会「いざという時必要」 

 

放送大学の玉野教授によると、「町内会は、いわば公共財のようなもの。日頃から行政と協力して防犯、防災、行事、集積所の管理などをしてくれている。誰かがやってくれれば、自分は参加しないで済ませたいと考えがちだが、いざという時ないと困る」ということです。 

 

スマホ回覧板で負担軽減 

 

町内会存続のための取り組みです。業務のスリム化です。山梨県甲府市の『桜盛会』は、会員数の減少などを理由に、元あった町内会を解散して、新しい組織を設立しました。 

会費や弔慰金、組長職などを廃止して、50代~60代の役員8人だけで運営し、『防災』に絞って活動しています。業務は、町内会の時に比べ、10分の1ほどに減少して、役員の負担が軽減されています。 

 

デジタル化で負担軽減です。千葉県市川市の東行徳自治会は、従来の紙の回覧板は残しつつ、スマホで閲覧できる電子回覧板を導入しました。 

地元の行事を写真や動画で紹介していて、行事への出欠の確認もスマホで手軽にできます。 

回覧板を回す負担を軽減すると共に、若い世代に会の活動をアピールする狙いがあるということです。 

 

町内会存続に必要なこととは 

 

玉野教授です。「存続させていくには、メンバーや役員の負担を軽減する工夫が重要。防災など具体的な活動はすべて他の市民団体に任せ、内外との連絡調整を担う機能に限定するのも一つの案」 

 

(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年8月26日放送分より) 

 

 

 
 

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