( 320043 ) 2025/08/29 06:13:48 0 00 TBS CROSS DIG with Bloomberg
(ブルームバーグ):米ルイジアナ州に住むゲーム愛好家のクリス・パウルキエビッチ氏は、高性能コンピューター部品を注文した数日後、思いがけない通知を受け取った。税関・国境警備局(CBP)に934ドル(約13万7000円)の関税を支払うよう求められたのだ。 「思わず『マジか』と声を上げた」と振り返る。
同氏はオンライン掲示板のReddit(レディット)で情報を集め、カスタマーサービスに何度か電話して、米政府の委託を受けたユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)が届けた請求書の内容を確認した。その結果、ドイツから取り寄せた部品には過大な関税が課されていたことが判明した。ただ、中国製の部品には25%、アルミニウム派生品には50%の関税が規定通り適用されていた。
最終的に、仲介手数料を除いた関税額は約340ドルに上り、部品購入額の約75%に相当した。パウルキエビッチ氏が必要としていた機材は国内小売業者では在庫切れだったため、やむなく外国から調達したのだという。「どうしてこんな金額を払うことになったのか、いまだに混乱している」と語る。
米国ではトランプ政権の関税政策の下、従来は免税対象とされていた800ドル以下の少額貨物にも29日から関税が課される。パウルキエビッチ氏が直面したような混乱が今後、消費者の間で広がるのは避けられそうにない。
いわゆる「デミニミス」制度と呼ばれる関税免除措置により、低価格商品の小包は長年にわたり関税なしで米国に持ち込むことができた。同制度を利用する小包は過去10年で急増し、2024会計年度には総計約14億件、1日当たり約370万件に達した。こうした仕組みが、アマゾン・ドット・コムや中国系SHEIN(シーイン)といった電子商取引企業の成長を後押ししてきた。
トランプ大統領が同制度の撤廃を決めたことで、今後は多くの消費者の日常生活に欠かせない宅配品に「想定外の請求」が伴うことになりそうだ。
この免税措置の終了を目前に控え、物流企業や販売業者、郵便サービスではすでに混乱が広がっている。米当局からのガイドラインが限られるなか、複雑で高コストの手続きを整理しようと対応に追われているためだ。世界各国の郵便事業者の間では、状況が明確になるまで米国向け配送を一時停止する動きも出ている。
アラバマ州の大学4年生、ジョシュ・ガチェラ氏は最近、カナダの業者に1029ドルのイタリア製ブーツを注文した。ブーツが届いてから約1カ月後、フェデックスから190ドルの請求書を受け取った。「最初は詐欺だと思った」という。
関税を巡る措置が絶えず変わり、混乱が広がる中、ガチェラ氏はその「想定外の請求」をまだ支払っていない。当面は今後の成り行きを見守るつもりだという。
原題:‘Hell No’: Shock $934 Bill Shows Tariff Pain to Hit US Shoppers(抜粋)
(c)2025 Bloomberg L.P.
TBSテレビ
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