( 320201 )  2025/08/30 04:37:12  
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自民党の石破首相は、参院選の惨敗後に内閣支持率が急上昇し、続投を求める声が広がっている。

読売新聞調査では支持率が22%から39%に上昇し、「辞任すべきでない」の意見が過半数を占めた。

自民党支持層の69%が続投を支持しており、年齢別では高齢者の支持が強い。

また、リベラル層からも支持を得ているが、支持基盤は脆弱であることも指摘されている。

石破首相は、与野党の期待を超えた支持を維持できるかが今後の課題となる。

(要約)

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続投を支える“意外な支持層” 

 

参院選での歴史的惨敗から約1ヶ月。当初「退陣不可避」とみられていた自民党内のムードが変化しつつある。その背景にあるのは、内閣支持率の急上昇。「辞任すべきだと思わない」が「辞任すべき」を上回るなど、続投を後押しする世論が広がっている。選挙に負けたのに、支持率が上がるという、近年でもめずらしい現象。いったい、石破首相はどんな人々に支持されているのだろうか。  

 

読売新聞が8月22〜24日に行った世論調査では、石破内閣の支持率が参院選後の22%から39%に急上昇。「辞任すべきだと思わない」も50%で、「辞任を求める」42%を上回っている。 

 

立憲議員は「めぼしいポスト石破候補は高市早苗氏や小泉進次郎氏しかいない。タカ派色の強い高市さんや、『進次郎構文』を連発して能力が疑問視される進次郎さんが首相になるくらいなら、石破さんでいい、と思う人が多いのでは」とみる。 

 

さらに世論を属性別にみてみよう。NHKが8月9〜11日に実施した世論調査では、石破首相の続投を支持する人は、自民党支持層の中では69%。野党支持層では39%、無党派層では43%なのに対し、自民党支持層はより多くの人が続投に“ゴーサイン”を出している形だ。 

 

自民支持者の声を長期間にわたって聞いてきた地方議員は 

 

「自民支持者も、旧安倍派の裏金問題に対する怒りがいまだ収まっていない。参院選前に何人もの支持者から『今回は自民に入れない』と言われた。 

 

自民を支持するからこそ、自民の足を引っ張った旧安倍派を許せず、裏金問題を引き起こした議員までもが『石破おろし』をしている現状に憤りを抱いているのでは」と語る。 

 

党内で『石破おろし』の駆け引きの中にいる自民議員は 

 

「裏金問題を引き起こした旧安倍派の一部が退陣を求めたのが良くなかった。世の中からは、党内基盤が弱い石破さんを、裏金問題を起こした議員たちがいじめているようにも見えた。『判官びいき』に近い感情も支持率を押し上げているのでは」とみる。  

 

 

また、NHKの調査を年齢層別にみると、石破首相の続投の賛否について、18〜39歳は賛成が27%なのに対し、80歳以上は賛成63%となっている。高齢になるにしたがって石破首相の続投を支持していることがわかる。 

 

「今年は戦後80年という節目で、テレビや新聞でも戦争や平和についての企画が多かった。そうしたなかで、高市首相ではタカ派すぎるとの警戒感も高齢者には根強くあるのだろう。 

 

さらに、地方の高齢者はコメの高騰など物価高を実感している。高齢者から見るとまだ若い小泉氏に国のかじ取りを任せるのは心もとない、という不安もあるのだろう。そうした要素が、消極的であっても石破首相への支持につながっているのでは」(自民関係者) 

 

いっぽう、NHKの世論調査では、野党支持層で石破首相の続投を支持する人は39%。自民支持層よりは少ないとはいえ、ある程度の野党支持層からも続投を容認されていることが分かる。とくにリベラル層から一定の支持を集めているようだ。 

 

「石破首相は戦後80年を迎えた終戦記念日の式辞に『反省』を盛り込むなど、リベラル層の支持も得られるような発言を繰り返している。立憲の野田佳彦代表が企業・団体献金の禁止をめぐって議論を呼び掛けたのに対し、『そのようにしたい』と応じるなど、野党支持層にも受けのいい言動をしている。 

 

そもそも石破首相は、リベラル層から反発の強かった安倍晋三元首相を批判していた。そうしたことからも『敵の敵は味方』のような感覚で応援されやすいのでは」(立憲関係者) 

 

そしてリベラル層にとっては「首相交代→衆院解散・総選挙」の流れを避けたい思惑もある。 

 

「いま、衆院を解散されたら、参院選で勢いのあった参政党や国民民主党を前に、立憲や共産は厳しい結果に終わる。立憲支持者も本心では『今は石破さんのままで』と願っている人が多い」(立憲議員) 

 

思惑はともあれ、与野党双方の支持者から続投についての一定の理解は得た石破首相。ただ、決して安心できる状況ではない。 

 

支持率が急上昇したといっても読売新聞では39%、共同通信では35%、毎日新聞では33%などと、軒並み4割を切っている状況だ。それが「消極的支持」であれば、その基盤は脆弱なものと言わざるをえない。 

 

朝日新聞が今月下旬に実施した党所属国会議員への調査では、全議員の約8割が事実上のリコールである総裁選前倒しについての賛否を明らかにしなかった。 

 

「世論が思いのほか石破首相の続投を支持しているので、表立って石破おろしをするか、迷っている議員が多いのだろう。逆にいえば、ちょっとしたことですぐに変わる支持率が落ち込めば、一気に石破おろしの流れが強まるだろう」(自民関係者) 

 

自民支持層、高齢者、リベラル層による「石破支持者」をつなぎとめることができるかどうかに、石破首相の命運がかかっている。 

 

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班 

 

集英社オンライン編集部ニュース班 

 

 

 
 

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