( 320563 )  2025/08/31 06:32:21  
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トランプ大統領(22日)=AP 

 

 【ワシントン=田中宏幸】米国のトランプ大統領が発動した「相互関税」などの合法性が争われていた訴訟で、米連邦巡回区控訴裁判所は29日、違法とした1審の決定を支持する判断を下した。関税措置の法的根拠とされた国際緊急経済権限法(IEEPA)について、「大統領令によって関税を課すことを認めていない」と指摘した。トランプ政権は連邦最高裁に上訴する方針だ。 

 

 控訴裁の判事11人のうち、7人が1審の決定を支持した。上訴を検討する時間を与えるため、発動済みの関税の効力は10月14日まで維持される。上訴があれば、効力は最高裁の判断が出るまで延長されるとしている。 

 

 控訴裁はIEEPAについて、「国家緊急事態に対応して数々の措置を講じる重要な権限を大統領に与えているが、関税や税金を課す権限は明示されていない」とした。関税を課す権限を巡っては、「米連邦議会が持つ」との原則を重視する姿勢を示した。 

 

 控訴裁の判断を受け、トランプ氏は29日、自身のSNSに「全ての関税は依然として有効だ。撤廃されれば、国家にとって厄災となる」と投稿し、上訴する考えを示した。最高裁は9人の判事のうち6人が保守派で、判断が覆る可能性もある。 

 

 訴訟の対象は、IEEPAに基づく相互関税や、合成麻薬フェンタニルの流入を阻止する目的で導入されたカナダとメキシコ、中国に対する追加関税で、自動車や鉄鋼・アルミニウム製品などへの追加関税は通商拡大法232条に基づくため対象になっていない。 

 

 IEEPAを根拠にした関税措置の発動は、トランプ政権が初めてだった。訴訟は今年4月、米国の中小企業やニューヨーク州など12州が米国際貿易裁判所に起こし、国際貿易裁は5月、相互関税などの恒久的な差し止めを命じた。控訴裁はその後、差し止め命令の執行を一時停止する判断を下していた。 

 

 

 
 

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