( 320858 )  2025/09/01 06:44:24  
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日本の平均年収は「460万円」らしいですが、周りでそれほど稼いでる人をあまり見かけません。実際平均くらい稼いでる人ってどれくらいいますか? 

 

ニュースなどで「平均年収」として発表される数字は、自分の感覚とはかけ離れていると感じる方も多いのではないでしょうか。 

 

この記事では、平均年収の統計的な仕組みを紐解き、多くの人が実際にどのくらいの年収帯で働いているか、具体的なデータを基に解説します。 

 

ニュースなどで耳にする「平均年収」は、「平均値」です。これは、対象となる全員の年収を合計し、その人数で割って求めるものです。 

 

しかし、ごく一部の超高所得者がいる場合、この方法で集計すると全体の平均値を大きく引き上げてしまうという特徴があります。例えば、9人が年収300万円で、1人だけ年収1億円のグループがあるとします。 

 

平均値を算出すると「(300万円×9人+1億円)÷10人=1270万円」です。 

 

算出された平均値だけを見ると、全員が年収1000万円以上稼いでいるようにも見えます。しかし、このグループの実情は異なります。 

 

一方、実態に近い数字として用いられるのが「中央値」です。全員の年収を低い順に並べたときに、ちょうど中央に位置する人の年収を示します。上記の例では、中央値は300万円です。 

 

なお、国税庁長官官房企画課の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、日本の給与所得者の平均年収は460万円でした。一方、厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、中央値は405万円という結果です。 

 

調査対象にも差があるため一概にはいえませんが、この「平均値」と「中央値」の間にある差が、私たちが感じるギャップの正体といえるかもしれません。 

 

では、実際に日本人はどのくらいの年収帯で働いているのでしょうか。国税庁長官官房企画課の「令和5年分 民間給与実態統計調査」より、年収の分布を表1にまとめました。 

 

表1 

 

表1 

 

出典:国税庁長官官房企画課「令和5年分 民間給与実態統計調査」を基に筆者作成 

 

表1から、年収300万円超~400万円以下の層が最も多く、全体の16.3%を占めていることが分かります。次いで、平均年収と同程度である400万円超~500万円以下の層が15.4%です。つまり、日本で最も多くの人が属している年収帯は、平均年収460万円よりも低い水準にあることが分かります。 

 

460万円という数字はボリュームゾーンを上回る人たちによって引き上げられた数字である可能性が高く、多くの人が平均年収に届いていないのが現実です。周囲で平均年収と同じくらい稼いでいる人が少ないと感じるのは、統計的に見ても自然なことといえるでしょう。 

 

 

平均年収は、年齢や性別、地域によっても大きく異なります。 

 

年収は一般的に年齢とともに上昇し、50歳台でピークを迎えます。国税庁長官官房企画課の調査では、55~59歳の平均年収は545万円です。一方、20~24歳の平均年収は267万円、25~29歳は394万円となっています。 

 

また、男性の平均年収は女性よりも高く、この差が全体の平均値を押し上げる要因にもなっていると考えられます。全体の平均年収は460万円ですが、男性の平均年収は569万円、女性は316万円です。 

 

さらに、都市部と地方でも差があります。首都圏や大都市圏では地方より平均年収が高い傾向です。同調査によれば、東京の平均年収は約530万円、大阪は約458万円ですが、札幌は約392万円、沖縄は約350万円と開きがあります。 

 

これらの要因によって、平均年収と実感との間に大きなギャップが生まれていることが考えられます。 

 

なお、業界や職種ごとのデータを調べることで、自分の市場価値を把握できます。年代別や地域別のデータを参考にすれば、収入の目安としても活用できるでしょう。 

 

私たちが感じる「平均年収460万円」とのギャップの正体は、一部の超高所得者によって引き上げられた平均値と、より実態に近い中央値との違いにあると考えられます。日本で最も多い年収帯は平均値より低い水準であり、このズレが違和感の原因でしょう。 

 

また、地域や年齢、男女間などさまざまな要因で平均年収も異なります。自身の年収が統計的にどの位置にあるかを把握し、あくまでも参考値にしてください。 

 

出典 

国税庁長官官房企画課 令和5年分民間給与実態統計調査 -調査結果報告- II 1年を通じて勤務した給与所得者 2 平均給与(15ページ)、〔年齢階層別の平均給与〕(21ページ)、3 給与階級別分布(23ページ)、(参考)国税局別表 第2表 国税局別及び事業所規模別の給与所得者数・給与額(243~244ページ) 

厚生労働省 2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況 II 各種世帯の所得等の状況 2 所得の分布状況(10ページ) 

 

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 

ファイナンシャルプランナー 

 

ファイナンシャルフィールド編集部 

 

 

 
 

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