( 321033 )  2025/09/02 04:27:52  
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 政府は、都道府県域を超えた産業や観光などの振興に向けた取り組みを「広域リージョン連携」と位置付け、交付金などで支援する新たな制度を創設する方針を固めた。人口減少を受けて単独の自治体では財源や人材が不足する中、広域の多様な主体が事業を支えることで地方創生につなげたい考えだ。 

 

新しい地方経済・生活環境創生本部の初会合で発言する石破首相。右は伊東地方創生相(2024年11月、首相官邸で)=源幸正倫撮影 

 

 複数の政府関係者が明らかにした。2日に開かれる政府の「新しい地方経済・生活環境創生本部」会合で、村上総務相が制度の要綱を示し、石破首相も推進を表明する見通しだ。 

 

 要綱案によると、支援対象は都道府県などの自治体と産業界などによる官民連携型の構成体を想定している。「広域リージョン連携宣言」を行った構成体に対し、具体的な事業ごとに政府が交付金や補助金で支援する。要望に応じて、規制緩和も検討する方針だ。 

 

 政府は、今年度中に複数の「広域リージョン連携」での事業支援を開始する予定だ。有力候補として、九州と関西、中国の各地域が挙がっている。 

 

 九州では、熊本への台湾積体電路製造(TSMC)の進出を契機に、九州地方知事会と九州経済連合会が、半導体産業が集積する「新生シリコンアイランド」の実現を目指している。人材育成や企業・教育機関による共同研究のための環境整備に取り組んでいる。 

 

「広域リージョン連携」を通じた地方創生のイメージ 

 

 関西地方では、関西広域連合と関西経済連合会が、「関西広域産業共創プラットフォーム」を2022年に発足させ、地域内の公設試験研究機関と大学、金融機関との連携により企業の新規事業支援を行っている。中国地方でも、地方自治体と経済団体などが連携し観光振興に向けたプロジェクトを進めている。 

 

 広域での取り組みは、専門的な人材の融通や地域のブランド力アップにつながり、経済界からの期待も大きい。道州制の実現を目指してきた経団連は昨年12月に発表した提言で、都道府県より広域のブロックとして人口500万人以上の「道州圏域」を単位とし、圏域ごとに交通網の整備や高等教育、産業の集積などの施策を推進するべきだと訴えている。政府は経済界のこうした構想も念頭に「広域リージョン連携」制度を進め、相乗効果を目指す。 

 

 

 
 

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