( 321101 ) 2025/09/02 05:49:16 1 00 全国で新米の価格が異常高騰しており、特に猛暑の影響が背景にあります。 |
( 321103 ) 2025/09/02 05:49:16 0 00 猛暑で新米が異常高騰 JA概算金も大幅引き上げへ 小泉農水相に聞く農政大転換の行方
全国で新米が店頭に並び始めましたが、価格は高騰しています。今後も高止まりが懸念されるなか、政府はどう対応していくのでしょうか。
全国で新米が出回り始めていますが、地域や銘柄によっては異常な高値になっているものもあるといいます。
横浜市のある米店では、高知県産「コシヒカリ」の新米が5キロ6450円で例年の1.5倍ほどの高値となっており、高知県産「よさ恋美人」の新米は5キロ7800円と去年と比べておよそ2倍となるなど、高値となっています。
高値の要因の一つとみられるのが猛暑です。気象庁によると、7月の全国の平均気温は平年より3℃弱ほど高く、統計開始以降最も暑かったとのことです。
番組が取材したコメ農家の多田さんは、「暑さの影響で、やせ細ったコメが例年と比べて倍だった」といいます。
高値となっている背景に、大幅に引き上げられている「概算金」の存在も指摘されています。
この「概算金」とは、JAが新米を確保するために生産者へ支払う仮払金のことをいいます。
今年の新米の概算金は新潟県・魚沼産「コシヒカリ」1等米60キロあたり去年より1万3000円高い3万2500円となっていて、秋田の「サキホコレ」は去年より1万2800円高く、北海道の「ゆめぴりか」は去年より1万2500円高くなっています。
JAが他の業者に買い負けないよう、「概算金」を高く設定しているとも報じられており、新米の流通が本格化しても、価格が高止まることが予想されています。
小泉進次郎農林水産大臣も「概算金」には注意を払っており、JA全中の山野徹会長と面会した際には「新米も出始めてきたところで、概算金のことも含めてお互いよく注視をしなければいけない局面」だと発言。概算金を引き上げることで、コメ価格が高くなることを警戒しています。
新米の価格が今、高いのは「概算金」が上がったからと見ているのでしょうか。
小泉農水大臣は、次のように答えました。
小泉農水大臣 「必ずしも、それだけではないですね。ただ間違いなく、農協が『概算金』をいくらで示すのかをみて、農協以外のプレーヤー(業者など)が『じゃ、いくら』というような動きをしていることも事実です。この価格動向はよく見たほうがいいと思っています。一方で、JAの皆さんも(『概算金』が)高いほどいいと思っていません。その裏側には、高すぎると消費者がお米から離れていく不安。そしてもう一つは、高すぎると海外のお米がどんどん入ってくること。この2つの不安があります。
特に私が日々見ているデータは、海外のお米が入ってきている数字です。実は去年と比べて海外のお米は300倍入ってきています。特に、アメリカのお米に至っては、去年と比べて2000倍です。この300倍、2000倍という数字を今、スーパーやコンビニなどに行って棚に海外のお米が並んでいるかといったら、その量を感じる方は少ないと思います。
では、どこで?といった時に、中食や外食などで我々がどこのお米を食べているのかを意識しないなかで消費をしている場で、国産米が高すぎて今までの価格ではお客さんに提供できないという方が、安い海外のお米に一部もう移っている。これは一時的だと思えばまだ良いですけど、一度新たな商流ができたら、もう一度棚を取り返すのはものすごく大変なことです。
だからコメの価格は、農家の皆さんの手取りと収入を考えると、どれだけ高くなって、消費者の皆さんが問題なく買えるという日本経済全体の力強さをつけていく以外にないのです。しかし残念ながら今の状況は、まだ物価を上回るだけの賃金、こういったものが全体として出てこないうちに、今のまま高止まりをしていいというわけにはいきません。そうした様々なバランスのなかでのかじ取りを、うまくいくようにしっかりと様々な状況をみて、うまくいったとなるように全力を尽くしたいと思います」
そして石破政権は、コメを増産する方向へとかじを切っています。これは日本の農政の大転換だともいわれています。
石破総理は、コメの安定供給に向けた関係閣僚会議でコメの生産不足を真摯に受け止めるとして、これまで政府が続けてきた事実上の減反政策から、増産にかじを切る方針を表明しました。
石破総理は「農業経営の大規模化や法人化」「スマート化の推進」などを通じて生産性の向上を図っていくとしています。
コメの増産で価格が下がれば、農家の所得も減ることになります。
6月、石破総理はコメ農家への所得補償について「どのような農地に対して支払うべきか、どうやって整合的に体系立てていくか、検討していきたい」と述べ、制度設計に向けて早期に結論を得たい考えを示していました。
8月31日には、民主党政権時代の戸別所得補償制度を例に挙げ、小泉農水大臣が「農地を持っていれば配りますと…こういった発想自体とるつもりはありません」と述べました。
増産した結果、コメ価格が下がって所得が減った場合は、どのように補償するのでしょうか。
小泉大臣は、次のように答えました。
小泉農水大臣 「増産をして価格が暴落したらどうするんだという声に対して、セーフティネットをつくる。令和9年度以降もコメ政策の転換に向けてやりますと、すでに何度も申し上げている通りです。いま大事なことは、先ほど紹介いただいた(農家への補償について)のパネルにもありますが、セーフティネットづくりのなかで、かつて民主党政権の時には、農地を持っていたら現金を配るという形で行ったのが戸別所得補償制度。今回の新たなセーフティネットづくりの際には、農地を持っていれば配るということをやるつもりはなくて。なぜ、そういったことをやらないのかと言えば、これから毎年6万人コメ農家が減っていくなかで、5年間で30万人減って、55万人が25万人になっていく予測です。その時に必要なのは基盤整備です。
どんな基盤整備が必要かといえば、枚数が多い田んぼを少ない人数で管理するのではなくて、できる限り枚数をまとめ集約化を行い、より効率的にコメづくりができるような農地の整備をする必要がある時に、一番大事なのは土地改良の予算をしっかり獲得をして、これから面的に農業の基盤を少人数でも回るような形にもっていくこと。これが大規模化であり、大区画化であり、集約化であり、集積化であり、スマート農業もそうです。
私は先週、福島に行きましたが、その地域の中で40歳の方が『自分が最年少だ』とおっしゃっていた。この40歳の方が求めていたことは、やはり枚数を減らしてまとめ、より効率よく営めるような環境整備をやってもらいたいと。その時に、農地を持っていたら、皆さんにお金を配りますとなったら喜ぶ方もいらっしゃるかもしれませんが、その財源に農地の区画を整理する予算をぶった切ってそれをやるのは、まったく今の時代に合っていない。そういうことはやるつもりはないと。セーフティネットの強化はしっかりやります」
そんななか自民党は、政府が進めるコメ増産などの「農業改革」に意見を反映させるための委員会を党内に新設し、トップに江藤拓前農林水産大臣を据える方針を決めました。
こうした動きの背景に、何があるのでしょうか。
朝日新聞によりますと、石破総理が進めようとしているコメの増産への転換は値崩れにつながりかねないとして農林族議員らは警戒しており、委員会と総理側との間で路線対立が生じる可能性もあるということです。
そして、総裁選の前倒しを求める声が、政権内部からも聞こえ始めています。大臣・副大臣・政務官をあらわす政務三役でいうと、神田潤一法務政務官、前回の総裁選で小泉農水大臣の推薦人を務めた小林史明環境副大臣、そして斎藤洋明財務副大臣はいずれも自身のSNSで辞任をしてでも総裁選の前倒しを求める考えを表明しています。
前倒しの賛否について、小泉農水大臣は8月31日、「一議員として、総括もしっかりみたうえで、対応は考えたい」と答えています。
政権内部から総裁選前倒しの声があがっていることを小泉農水大臣は、どう受け止めているのでしょうか。
小泉農水大臣 「今、自民党が置かれている状況は、衆議院、参議院で負けたので、危機感をもたないほうがおかしい。たとえ、閣内にいる政務官、副大臣であったとしても一人の議員という立場のなかで、危機感を持った思いを表明されるのは、私は議員としてはあるべき姿勢の一つだと思います。
一方で、国民の皆さんが今、自民党に対して向けている目線も厳しい状況には変わりないと。そのなかで、私は何よりも苦しい時にどうやって党が一つにまとまれるような環境をつくれるのか、このことの重要性は改めて痛感しています。
私は今、農政の歴史的な転換点に携わっている責任者の一人として、ここで政治が揺らいではならないと思います。ですので、党内の状況も含めて、総理もよく見ていると思いますが、危機感をもって表明した政務官や副大臣に、一部から『だったら辞めろ』のような声がありますが、私はそういう姿勢ではなくて、どうやって皆を包摂するか。そういったことが、大事なことだと思います」
(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年9月1日放送分より)
テレビ朝日
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