( 321121 ) 2025/09/02 06:16:04 1 00 近年の物価上昇に対処するため、日本の生活保護制度の見直しが行われ、2025年10月から「生活扶助」が引き上げられます。 |
( 321123 ) 2025/09/02 06:16:04 0 00 chayanuphol/shutterstock.com
近年の急な物価上昇への対応として、生活保護制度の見直しが行われています。
2025年10月からは、生活保護の一つである「生活扶助」が引き上げられることになりました。
本記事では、2025年10月からの生活扶助の引上げについて解説します。引上げの背景や今後の見通しなども紹介しますので、受給の可能性のある人は確認しておきましょう。
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最初に、生活保護制度と生活扶助の概要について確認しておきましょう。
●生活保護制度の種類 生活保護制度は、憲法第25条に定める「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を守るため、生活困窮者に経済的支援を行うとともに自立を支援することを目的としています。
主な支援内容は、次の8種類の扶助です。()内の費用を賄うため給付を行います。
・生活扶助(食費や光熱水費などの日常生活費用) ・住宅扶助(家賃などの住居費用) ・教育扶助(義務教育に必要な学用品費や給食費など) ・医療扶助(医療費) ・介護扶助(介護サービス費用) ・出産扶助(出産費用) ・生業扶助(就労や技能習得に要する費用) ・葬祭扶助(葬祭費用) ●生活扶助の内容 生活扶助は、生活保護受給者の日常生活を支える制度の中心となる扶助です。
食費や光熱水費、被服費など毎日の暮らしに欠かせないものの費用が対象です。
支給額は、受給者の年齢や世帯人数・居住地域(1級地-1から3級地-2までの6地域に区分)によって決まります。また、個人の状況に応じて母子加算や障害者加算などの加算もあります。
生活扶助の支給額は、2023年10月から2年間の臨時的措置として「1人あたり月1000円」の特例加算が追加支給されており、2025年10月にはさらなる引上げが行われます。
生活扶助の支給額増額が続いて行われるのは、2021年後半から物価上昇が継続していることが主な原因です。
日常生活に不可欠な食料品価格やエネルギー価格が高騰し、生活保護受給者の生活を圧迫している状況を改善するために、生活保護の根幹をなす生活扶助の引上げが決まりました。
ここまで、生活保護制度・生活扶助の概要と生活扶助引上げの背景について解説しました。次章では、2025年10月からの生活扶助引上げの内容や今後の見通しなどを紹介します。
2025年10月から、生活扶助の特例加算が「1人あたり月1500円」に引き上げられます。世帯人数が3名の場合、特例加算額は月4500円になります。
2023年10月からの特例加算と同様、臨時的措置になります。
・2023年10月〜2025年3月:特例加算は1人あたり月1000円 ・2025年10月〜2027年9月:特例加算は1人あたり月1500円 また、2025年10月に特例加算を追加支給しても支給額が下がる場合、直前の支給額が保証されます。つまり、2025年10月に生活扶助が減額になることはありません。
なお、厚生労働省によると、生活扶助の支給額が引き上げられるのは約94万世帯で、生活保護受給世帯の約58%が該当するとのことです。
厚生労働省の「社会保障審議会生活保護基準部会」では、2027年度以降の生活扶助基準について次のとおり検討されています。
今後の社会経済情勢等の動向を見極めつつ、一般低所得世帯の消費実態との均衡を図る観点から必要な対応を行うため、令和9年度予算の編成過程において改めて検討
引用:厚生労働省「令和5年度以降の生活扶助基準の見直しについて」
現在も物価の上昇は続いており特別加算などの物価高対策が継続する可能性もありますが、「健康で文化的な最低限度の生活」を維持しつつ、生活保護を受けない低所得世帯の消費額の範囲内で支給水準が決められます。
近年の物価高対策として、2025年10月より2年間の臨時的措置として「1人あたり月1500円」の特例加算が追加支給されます。
2023年10月に始まった特例加算に、500円を上乗せした水準です。
生活扶助の支給水準は原則5年に1度、定期検証をすることになっていますが、物価変動などで生活保護受給者の生活に悪影響が出ないように臨時的措置が取られることもあります。
制度を理解して有効活用しつつ、経済的自立に取り組みましょう。
・厚生労働省「生活保護制度」 ・厚生労働省「令和5年度以降の生活扶助基準の見直しについて」
西岡 秀泰
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