( 321393 ) 2025/09/03 06:01:33 0 00 合同就職面接会で採用担当者の話を熱心に聞く学生ら(7月31日、中国北部の河北省唐山市で)=照沼亮介撮影
【北京=照沼亮介】中国で若者の就職難が深刻化している。不動産不況の長期化などで企業が採用を絞り込んでいる一方、大学の卒業生は過去最多となっているためだ。米中の貿易戦争は中国経済の先行きに影を落としかねず、中国の「就職氷河期」は当面続くとみられている。
中国北部・河北省唐山市で7月末に開かれた合同就職面接会には、就職活動中の学生や、その保護者ら大勢が詰めかけていた。
中国では6~7月が大学の卒業シーズンで、7~9月の入社が一般的だ。卒業1年前から就職活動は始まる。しかし、面接会には大学卒業後も就職先が決まらない若者の姿も多かった。
面接会は、電子機器や医薬品など約80の企業・団体が1500人以上の採用枠を用意したと宣伝していたが、参加した男子学生は「給料が少ないところばかり」と肩を落としていた。
北京市内で仕事を探していた于暁竜(ユーシャオロン)さん(24)はIT企業を中心に約6000社に履歴書を送った。ある面接で「あなたの代わりはいる」と言われ、不採用になった。8月下旬にようやく就職は決まったが、「中国人は多過ぎて競争が激し過ぎる」と嘆いた。
若者の失業率は高止まりしている。国家統計局が先月発表した7月の16~24歳(学生を除く)の失業率は、前月より3・3ポイント悪化して17・8%となった。全世代の失業率を大きく上回る。
実態はさらに深刻な可能性もある。16~24歳の失業率は、2023年6月に21・3%と過去最悪を更新後、中国政府は公表を中止した。同年12月に再開したが、就職希望の学生を除外する新たな集計方法に変更したことで失業率は下がった。
中国の大手求人サイト「智聯招聘」が発表していた学生の内定率も24年4月中旬時点で47・8%に下がったが、その後は公開を控えており、さらに悪化している可能性もある。
中国経済は、21年に表面化した不動産不況で消費が低迷し、製造業や金融業にも波及して企業が採用を絞り込む傾向が続いている。若者に人気のIT企業に対し、市場での支配的地位の乱用などを理由に中国政府が規制を強めた影響も大きい。一方で25年の大学卒と大学院修了者は前年比43万人増の1222万人と、過去最多となり、就職難に拍車をかけている。
中国政府も危機感を強めている。中国共産党は7月末、習近平(シージンピン)総書記(国家主席)主宰の政治局会議で、今年後半の経済方針として「雇用の安定」を第一の課題に挙げた。地方の農村で農業や教育支援などに大学卒業生を派遣する事業などを展開するが、効果は不透明だ。中国のSNSでは、就職難への不満を表す投稿が拡散している。
中国の労働市場に詳しいみずほリサーチ&テクノロジーズの月岡直樹氏は「米中貿易戦争で景況感が悪化すれば、企業がさらに採用を控える。就職難が加速すれば、住宅や車など若年層の購買意欲が下がり、長期的な景気の下押し圧力になりかねない」と指摘する。
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