( 321423 ) 2025/09/03 06:36:10 0 00 新浪氏
(ブルームバーグ): サントリーホールディングスは2日、新浪剛史会長が1日付で辞任したと発表した。同氏から適法との認識の下に購入したサプリメントを巡って警察の捜査を受けたとの申し出があり、会社として会長の要職に耐えないと判断したという。
サントリーHDによると、8月22日に新浪氏から報告を受け「ガバナンス上極めて深刻な事案」と判断。協議を重ねる中で新浪氏から「一身上の理由」で役職を辞任したいとの申し出があったとしている。
鳥井信宏社長は都内で開いた会見で、新浪氏と2度にわたり面談の場を持ち、28日に新浪氏を除く全取締役・監査役が協議、辞職を促す方向で一致したと明らかにした。違法性については捜査中のためコメントを控えるとしながら、捜査の方向性は別として、サプリを手掛ける企業としての認識を欠いた点などが問題だったとした。
鳥井氏は業績への影響もあるとの見方を示したが、「国内外ともわからない」と話した。一方、経営戦略そのものに変更はないとした。会社として新浪氏に補償を求めるかどうかという質問については回答を避けた。退職金の支給については制度として設けていないという。
新浪氏は三菱商事出身。コンビニ大手ローソンの経営トップを務めたあと、2014年にサントリーHDに入社。社長を約10年務めた後、今年3月から会長を務めていた。経済同友会の代表幹事も務め、財界の立場から政治や社会問題に意見することでも知られていた。
「会長の仕事を続けることができなかったことは残念」などとする新浪氏のコメントを山田賢治副社長が会見で代読した。
ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリストであるエイダ・リー氏らは新浪氏について、ビーム社買収後に社長に就任し両社の統合を主導するなど、国際展開において中心的な役割を果たしてきたと指摘。同氏の辞任は同社のグローバル展開にブレーキをかける可能性があり、国内の競合他社にとっては、海外での存在感を強化する好機となるかもしれないとの見方を示した。
サントリーHDを巡る報道などの一連の動きで、同社の子会社であるサントリー食品インターナショナルの株価は2日の取引で乱高下した。
午前の取引時間中に親会社であるサントリーHDの鳥井社長と山田副社長が午後3時から緊急記者会見を開くことが伝わると上昇幅を切り上げ、一時前日比5.2%高の4830円と4月23日以来の日中上昇率となった。新浪氏が大麻取締法違反容疑の事件で福岡県警の捜査対象となり、辞表を提出したとの東京新聞の報道を受けて一時下落に転じる場面もあった。終値は2.9%高の4725円だった。
サントリーHDの会長は佐治信忠氏との2人体制だったが、当面佐治氏のみとなるという。
(c)2025 Bloomberg L.P.
Koh Yoshida, Yui Hasebe
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