( 321436 )  2025/09/03 06:53:51  
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年収1,000万円は多くの人にとって経済的安定を象徴する額ですが、実際には税金や社会保険料、住宅ローンや教育費などの支出が大きく影響します。

大手メーカーで課長に昇進した田中正志さん(仮名)は、額面の月収は70万円を超えるものの、手取りは約52万円にしかならず、出費の多さに驚いています。

年収1,000万円は全体の上位6〜7%に入りますが、可処分所得は見かけ以上に少ない場合が多いです。

この状況は「高収入に見えるが実際はゆとりが少ない層」とされ、生活の質が平均的な世帯と大きく変わらないこともあります。

重要なのは実際に使える手取り額や家計の設計であり、額面だけに惑わされないことが必要です。

(要約)

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(※写真はイメージです/PIXTA) 

 

「年収1,000万円」と聞くと、多くの人は「経済的に安定した生活ができる」というイメージを抱くのではないでしょうか。求人広告やメディアでも目を引く金額であり、一つの“到達点”として語られることも少なくありません。しかし、実際にその年収に到達してみると、税金や社会保険料の負担、さらには教育費や住宅費など現実的な出費に直面し、想像していたほどの余裕が感じられないケースもあります。 

 

大手メーカーに勤める田中正志さん(仮名・45歳)は、大学卒業後から20年以上、営業一筋で働いてきました。社内競争を勝ち抜き、今年ついに課長に昇進。年収はボーナスを含めて1,000万円を超える見込みとなり、家族全員で喜びを分かち合いました。 

 

「家族のためにも、もっと頑張らないとな」 

 

昇進を祝って家族で高級焼肉店に出かけ、子どもたちから「パパすごい!」と拍手をもらった瞬間、田中さんは長年の努力が報われた実感をかみしめたといいます。 

 

しかし、昇進後初めての給料日。期待を胸に通帳を確認した田中さんは、思わずつぶやきました。 

 

「えっ、手取りってこれだけ?」 

 

額面では月収70万円を超えるものの、実際に振り込まれたのは約52万円。確かに昇進前より増えてはいるものの、「もっと余裕が出る」と考えていただけに、現実とのギャップに驚きを隠せなかったといいます。 

 

この差の背景には、日本の税制と社会保険料の仕組みがあります。 

 

所得税、住民税、社会保険料(健康保険、厚生年金、雇用保険など)を合算すると、毎月約18万円前後が天引きされ、額面70万円に対して手取りはおおよそ52万円となるのです。 

 

さらに田中さんの家計を圧迫するのは、家庭の固定費です。 

 

●住宅ローンの返済:月12万円 

 

●子ども2人の塾代・習い事:月10万円超 

 

●光熱費や食費も物価高騰で上昇傾向 

 

こうした出費を差し引くと、手取り52万円でも「使えるお金」は思った以上に限られてきます。妻は「周囲からは“裕福でいいね”と言われるけれど、実際は貯蓄をする余裕は少ない」と語ります。 

 

 

国税庁『民間給与実態統計調査(令和5年)』によれば、給与所得者の平均年収は約460万円。年収1,000万円は全体の上位6〜7%に入ります。しかしこの層は、税負担や社会保険料の増加に加え、児童手当や高校授業料無償化といった制度の所得制限に引っかかりやすく、実際の可処分所得は見た目ほど多くありません。 

 

専門家は「年収1,000万円前後は“高収入に見えるが実際はゆとりが少ない層”」と指摘します。家族構成や住居費、教育費次第では、平均的な世帯と生活水準が大きく変わらないこともあるのです。 

 

田中さんは今も仕事に打ち込みながら、教育費と老後資金の両立に悩んでいます。 

 

「課長になれば生活は楽になると信じていたけど、実際は責任も支出も増えて、心配はむしろ増えました」 

 

そう振り返る田中さんの言葉は、“1,000万円プレーヤー”のリアルを端的に表しています。 

 

「年収1,000万円」という言葉は華やかに響きますが、重要なのは実際に使える手取り額です。社会保険料や税金、制度の制限を考慮すれば、額面に惑わされず家計を設計する必要があります。 

 

田中さんの驚きは、誰にとっても決して他人事ではないのかもしれません。 

 

THE GOLD ONLINE編集部 

 

 

 
 

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