( 321803 ) 2025/09/05 03:15:20 0 00 会見で謝罪する神奈川県警の和田薫本部長=2025年9月4日午前10時50分、横浜市中区、竹花徹朗撮影
元交際相手からの暴力やつきまといについて、神奈川県警に繰り返し通報や相談をしていた川崎市の岡崎彩咲陽(あさひ)さん(当時20)が殺害された事件で、県警は4日、検証報告書を発表した。不適切な対応で被害者の安全を確保する機会を逃したと認め、ストーカー事案に対応する体制が形骸化していたと背景を指摘した。
和田薫・県警本部長は記者会見し、自身が管理・監督責任を問われて警察庁から口頭厳重注意を受けたことを明らかにした。「県警察の最高責任者としてこのような事態を招き、県民の皆様の信頼を損なうこととなり責任を痛感している。改めておわび申し上げます」と述べた。県警などは、一連の対応が不適切だったとして、40人あまりを処分する方針だ。
この事件では、元交際相手の白井秀征(ひでゆき)被告(28)が殺人やストーカー規制法違反の罪で起訴されている。岡崎さんや家族は昨年6月以降、白井被告の暴力やつきまといについて県警に繰り返し相談。だが昨年12月に行方がわからなくなり、今年4月に遺体で見つかった。
報告書は、行方不明になる直前の時期について、対応した警察官が危険性や切迫性を過小評価したと指摘。不適切な対応により岡崎さんの安全を確保する機会を逃したうえ、初動捜査も不十分なまま、事件性が低いと判断していたと認めた。
背景として、県警内部で、ストーカーやDVなどの「人身安全関連事案」に対応する体制が形骸化して機能不全に陥るなど、組織的・構造的な問題点があったと指摘。署と県警本部や生活安全部と刑事部の連携も不十分で、担当者や幹部の当事者意識の希薄さが重大な結果を招いたと結論づけた。
再発防止策として、県警本部にストーカー事案などで司令塔となる参事官級のポストを新設し、部門間で連携するための仕組みをつくる。本部で事案を継続的に管理するため、専門の係を創設する。また、危険性や切迫性のある事案の見逃しがないよう、署への指導も強化し、すべての捜査員に、捜査の基本を徹底させる。
県警は1日、川崎臨港署で、岡崎さんの遺族に検証結果を報告した。石崎弘志郎署長と検証チームの副責任者である本部警務部の笠佳孝警務課長が、組織的な初動対応の遅れや、遺族の要望を真摯(しんし)に受け止められず、岡崎さんが犯罪に巻き込まれた可能性を念頭に置いた捜査が出来ていなかったことなどを謝罪した。(奥田薫子、稲葉有沙)
朝日新聞社
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