( 321921 ) 2025/09/05 05:37:05 1 00 自民党内で石破茂首相への辞任要求が高まっていますが、世論調査では多くの人が石破氏の続投を望んでいます。 |
( 321923 ) 2025/09/05 05:37:05 0 00 ZUMA PRESS WIREーREUTERS
自民党内で石破茂首相への辞任要求が激しくなっている。事実上の辞任勧告となる総裁選前倒しの日程をめぐり、激しい駆け引きが行われる一方、世論調査では石破氏の続投を望む声が多く、世論と永田町には乖離が生じている。
もともと石破氏は、裏金問題をきっかけとした政治不信からの脱却を目的に、腐敗政治を打破できるクリーンな政治家として首相の座に就いた経緯がある。自民党に対する逆風は収まっていないため、参院選では大敗したものの、石破氏が総理だったことで逆風が吹いたわけではないことは多くの国民が理解している。
実際、8月下旬に行われた共同通信社の世論調査では「首相の辞任は必要ない」とする意見が約6割を占めた。つまり、今回の「石破おろし」は単なる自民党内での足の引っ張り合いということになる。
総裁の椅子をめぐり、与党内で激しい駆け引きが行われるのは恒例行事ではあるものの、今回はだいぶ様子が異なっている。これまでの時代は、自民党が与党として政権を維持することが大前提の党内勢力争いだったが、次の選挙でも自民党が大敗した場合、同党が下野してしまう確率は高い。
■今後の政界は4方向に分裂か
今、石破氏に対して強く辞任を求めているのは、現政権で冷遇されている旧安倍派の議員が中心であり、裏金問題を抱えた人物も少なくない。このまま党内意見を集約できなかった場合、党が分裂する可能性も否定できない状況だ。
自民党を攻撃する野党も空中分解寸前の状態といえる。野党第1党の立憲民主党は、石破政権と方向性が近い穏健保守グループ、減税を強く主張する国民民主党の方向性に近いグループ、さらには、大きな政府を目指すリベラルなグループの寄り合い所帯となっており、内実はバラバラである。
それでも同党が一つの政党としてまとまっていられたのは、選挙で勝てばすぐに政権が転がり込んでくるという期待感があったからにほかならない。
しかしながら、自民が分裂すれば、政界全体を巻き込んだ再編劇となる可能性が高く、同党も黙っていれば自動的に政権が転がり込んでくる状況ではなくなった。各党は政界再編をにらんで一触即発の状態といえる。
どのような形になるにせよ、今後の政界は現行の自民党路線と、減税路線、リベラル路線、極右という4つの方向に分裂していく可能性が高い。当然のことながら、どの政党が主導権を握るのかによって経済政策も変わると同時に、所得再分配の在り方も違ったものとなるだろう。
■市場の反発を招くシナリオ、増税が相次ぐシナリオ
これまでの政治は、与党の中にさまざまな考え方があり、これらをどう調整するのかという流れで政局が形成されてきた。だが政界再編後は、どの政党が選ばれるのかで政策の方向性が百八十度変わることになる。
政権与党の中にさまざまなスタンスの政治家が混在するという、従来の日本型政治は終焉を迎える可能性が高まっており、政治が不安定化すると同時に、国民としては政策本位で政治家や政党を選ぶチャンスが近づいたと捉えることも可能だ。
一方で政治状況次第では、財政規律の緩みに歯止めがかからず、市場から激しい攻撃を受けるシナリオや、増税が相次ぐシナリオ、地政学的リスクが高まるシナリオもあり得る。市場や諸外国との向き合い方も真剣なものとならざるを得ないだろう。
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