( 322333 )  2025/09/07 04:06:07  
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自民党の最高顧問を務める麻生太郎氏(写真:アフロ) 

 

 自民党の重鎮である麻生太郎最高顧問は2025年9月3日、派閥の研修会で「総裁選の前倒しを要求する書面に署名し、提出する」と明言し、石破茂首相に退陣を迫った。 

 

 だが、84歳の"古い自民党"の象徴とも言える政治家がいまだに発言力を持っていることに、SNSでは「前倒しすべきは麻生太郎の政界引退」の声が噴出した。一方で「アンチ石破派」からは、麻生氏の動きを歓迎する様子がみられる。 

 

■鈴木宗男氏「あなたが出ることで、また自民党の支持は下がる」 

 

 麻生氏は会合で、7月の参院選について「惨敗は明らかだ」と強調。「次の衆院選に勝利できる体制を整えなければならない」と語り、石破おろしへ号砲を鳴らした。 

 

 だが、大手メディアの世論調査では8月に石破内閣の支持率が軒並み上昇。SNSでは、これまで冷遇された旧安倍派などの裏金議員が石破おろしの主力となっていることへの嫌悪感、より右派的な主張が強い高市早苗氏が次の首相候補に挙がることへの警戒感を示す反応が根強い。 

 

 このタイミングで麻生氏が総裁選前倒し要求を表明したことが、X(旧Twitter)では火に油を注ぐ事態に。「自民党は、石破をおろすよりも麻生をおろす方が先ではないか?」「麻生さんは確か『最高』顧問なんすよね?あなたは『惨敗』の責任をどのようにとるおつもりか?」など批判の声が殺到した。 

 

 麻生氏といえば、16年前に自民党の下野を招いた張本人で、13年前に自民党が政権奪還した後は副総理として長く政権の中枢に居座り続けてきた。このため、逆に「麻生辞めろ」のハッシュタグがXのトレンド入りするという事態が起きている。 

 

 フリーライターの武田砂鉄氏は、旧態依然とした自民党の動向にこう皮肉を込めた。 

 

「『解党的出直し』を宣言した後で、早速、『派閥領袖の麻生氏が動いた(ので私も)』となる、出直してない感」 

 

 自民党内でも、麻生氏の動きを牽制する声もある。石破首相を支持する鈴木宗男参院議員は、次のように発言した。 

 

「私は麻生さんが前倒し賛成だと言えばですね、逆に世論は冷静な判断をして、よくぞ言ってくれた、あなたが出ることによって、またこれで自民党の支持は下がりますよという流れになってくると思います」 

 

 平将明デジタル相も名指しはしなかったものの「いまだに派閥があるのかという感想を持った」と言及。「自民党が先祖返りをしてしまう」と苦言を呈した。 

 

 

 その一方で、これに先駆けて奇妙な動きも見られた。 

 

 参政党の神谷宗幣代表と麻生氏が8月28日に会談。そして神谷氏は9月3日、フジテレビ元取締役の反町理氏のYouTubeに出演し、自分から麻生氏へ相談を持ちかけ、組織運営について助言を求めたことを明かした。 

 

 参政党は、参院選では自民離反票の受け皿として躍進を果たしたと見られている。古い自民党の象徴とも言える麻生氏と接近する動きにXでは、参政党支持者とみられるアカウントから「アドバイス受けるのは良いけど、連立入りだけはやめてほしい」「神谷宗幣は取り込まれません」との声があった。 

 

 一方で、同じく支持者のアカウントからは「麻生さんの政治家としての力量は相当なものですからね」「党は違えど多方面に繋がりを作ることに何も不安はない」など、むしろ2人の対談を称賛するかのような反応も目立った。 

 

 8月31日に行われた「石破辞めろ」デモでは、参政党の支持者を名乗る複数のアカウントがXにデモの様子を投稿しており、自民党外から石破おろしを扇動する一つの勢力となっている。 

 

 神谷氏と麻生氏の接近にXでは、リベラル層を中心に「自民麻生太郎+参政党神谷の魔合体なら石破の方がマシという絶望的な消去法」と、その動きを警戒する見方も出ている。 

 

 

 
 

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