( 322411 )  2025/09/07 05:41:02  
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ガソリン税の暫定税率廃止が話題になっており、その影響について解説しています。

現在、ガソリン価格の約4割が税金であり、その中には消費税や暫定税率が含まれています。

暫定税率は本来一時的な措置として1970年代から課税されており、50年以上続いています。

今、廃止の議論が進められており、廃止されるとガソリン価格は25.1円安くなりますが、補助金がなくなるため、実質15.1円の値下げにとどまります。

また、軽油の暫定税率は廃止されない見込みで、これは地方自治体の収入に影響を及ぼすためです。

ガソリン税の仕組みは複雑で、私たちの生活に直接影響を与える可能性があります。

今後の国会での議論が注目されています。

(要約)

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ガソリンが安くなる!?…意外と知らないガソリンの「暫定税率」廃止について池上解説 

 

株価が史上最高値を更新したり、社会保険料が上がるなんて話があったりと最近お金のニュースをよく目にしますよね。そこで今回はその中でもガソリン税の暫定税率廃止について、その仕組み、そして私たちにとってどんなプラスやマイナスがあるのか解説してまいります 

 

ガソリン税の暫定税率廃止、と聞くと「私は車乗ってないから関係ない!」と思う方もいらっしゃるかもしれません。でも実は皆さんの生活に大きく関わってくる可能性があります。 

 

今2025年中に暫定税率を廃止しようと与党と野党の間で話し合いが続いているのですが… 

 

ではそもそもガソリンにはどのくらい税金がかかっているのか、ご存知ですか? 

 

実は今、ガソリン代の4割程度が税金となっています。 

 

この高い税金の中で、消費税が「おかしい」とよく言われています。 

 

ガソリンの本体価格に対して、ではなく、ガソリン税や石油石炭税を含めた金額の10%が消費税としてかかっているんです。これって、税金に税金をかける「二重課税じゃないか」と批判されているんですね。 

 

この4割にも上る税金の中に、暫定税率が含まれています。そもそも暫定税率の暫定とは「正式な決定がなされるまで仮の措置として、とりあえず定めること」(小学館・大辞泉より)です。となると、何らかの理由で「一時的に」かけられた税金、ということになります。では税金のうち暫定税率とはいくらくらいなのか、まずは内訳を見てみましょう。 

 

本体価格にプラスされているガソリン税、そこに本来の税金28.7円(1リットルあたり)に暫定税率分が25.1円上乗せされているんです。暫定「税率」というと割合で、本体価格の変動で変わってくるようなイメージがあるかもしれませんが、これは定額です。ガソリン1リットルあたり25.1円と決まっています。 

 

先ほどの「暫定」の定義によると一時的な税金のはずの「暫定」税率ですが、実は50年以上もかけられているんです。 

 

 

スタートしたのは田中角栄総理時代の1970年代です。当時は道路整備のためのお金がたくさん必要でした。そこで道路を利用している人、車に乗っている人にそのお金を払ってもらおう、ということで始まりました。当初は2年間の臨時措置でしたから、まさに「暫定」ですね。それが繰り返し延長されて、50年以上が経ってしまったんです。そしてその間に大きな変化もありました。もともとは道路のためだけに使うはずでしたよね?それが途中から「道路以外にも使おう!」と目的までも変わってしまったんです。 

 

2000年代に入ると道路整備のために集めたお金が余るようになってきました。するとそのお金で宿舎を作ったり、マッサージチェアを買ったり、と「こんな使い方でいいのか!?無駄遣いじゃないのか!」といわれるような事案が出てきたんです。そこで「今色々なことにお金が足りないからそのお金を何にでも使えるようにしましょう!」となったわけです。 

 

そんな中、2009年には当時の民主党が「暫定税率廃止」をマニフェストの1つとうたって政権をとりました。ここでいよいよ暫定税率は廃止されるのか?となったのですが…結局「当分の間税率」と名前を変えただけで残ってしまったんです。この頃、日本の赤字が増えてきて財政状態がかなり悪かったんです。それで税金が少しでも増えて欲しい、と廃止しなかったんですね。というのもガソリンの暫定税率は国と地方をあわせて約1兆円もの税収です。これだけ大きな金額だからやめられない。一度税金を上げると下げられないということですね。 

 

そしてついに今、50年続いた暫定税率をやめようという話になっているわけですが、実は車に乗らない人にも大きな影響がでそうなんです。その理由を説明いたしましょう。 

 

まず、ガソリンには今1リットルあたり10円の補助金が出ているのをご存知ですか? 

 

暫定税率が廃止された場合はこの補助金はなくなることになっています。 

 

となるとガソリン1リットルあたりで見てみると、暫定税率分25.1円安くなりますが、補助金の10円分は値上げ、差し引き15.1円だけ安くなる、というわけです。 

 

でもこの補助金はガソリン以外にも出ています。補助金の対象となっているのは軽油や重油、灯油や航空機燃料です。 

 

ガソリン以外への補助金は産業への支援にもなっているので、廃止するのかどうかが今議論されているところです。軽油は物流を担うトラックの主な燃料ですし、重油は火力発電の燃料にも使われています。こういったところへの補助金がなくなるかどうかはまわりまわって私たちの生活にも大きな影響が出てきます。 

 

この中でも軽油には今暫定税率がかけられています。でも今回ガソリンとは違って軽油の暫定税率は廃止されません。一体なぜでしょうか。 

 

実は軽油にかけられている暫定税率は、国ではなく地方自治体に入ることになっています。もしこれを廃止した場合、全国様々な自治体で収入が減って困ってしまいます。影響が大きいため、今回は見送られることとなったんですね。 

 

こうしてみるとガソリン一つとっても税金の仕組みがかなり複雑になってきているのがお分かりになると思います。それだけに一つを変えようとするとなかなか大変です。そしてガソリンや軽油の価格は私たちの生活に大きな影響を与えます。これから開かれる秋の国会で一体どのような結果になるのか是非注目してみてください。 

 

(池上彰のニュースそうだったのか!! 9月6日OA分より) 

 

トランプ関税や「独身税」など、お金のニュースについての池上解説はTVerへ! 

 

テレビ朝日 

 

 

 
 

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