( 322683 )  2025/09/08 06:13:38  
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 アニメの舞台やアイドルゆかりの地をファンが巡る「聖地巡礼」に、静岡県が力を入れている。首都圏に近く、富士山や駿河湾など風光明媚(めいび)な名所に恵まれた静岡県には、多くの“聖地”がある。観光と結びつけることで、大きなビジネスチャンスとなるため、県はPRに取り組んでいる。(榎田翔太) 

 

 県は昨年度(10月~2月)、人気テレビアニメ「ゆるキャン△」のスタンプラリーを実施した。静岡経済研究所(静岡市)が参加者アンケートを基に算出した県内への経済波及効果は、4億9810万円に上ったという。2021年度スタンプラリーの経済波及効果(4億1148万円)を上回ったといい、県は県外客の誘致増が成功の要因とみている。 

 

 県によると、昨年度の参加者は8330人で、県内在住者が3891人で、県外在住者が4439人だった。参加者1人当たりの消費支出額は、県内者が3万5405円、県外者が6万1765円。いずれも県外者が県内者を上回る結果となった。 

 

 参加者の半数以上から「静岡県の知らなかった観光地を知ることができた」との回答があり、スタンプラリーが、県内各地の魅力を知るきっかけになったようだ。 

 

 県観光情報ウェブサイト「ハローナビしずおか」は、人気アイドル「乃木坂46」などの「坂道グループ」が県内で撮影したミュージックビデオ(MV)のロケ地を紹介している。 

 

 県観光振興課が、各市町からMV撮影のロケ地情報を収集し、乃木坂46の10曲、櫻坂46の3曲、日向坂46の2曲で使用されたロケ地を紹介している。同課担当者は「自然環境に恵まれ、都内から日帰りできることもあり、ロケ地に適しているようだ」と解説する。 

 

乃木坂46のミュージックビデオのロケが行われた静岡市役所静岡庁舎本館(静岡市葵区で) 

 

 静岡市は、市内で行われる映画やテレビなどの撮影の際、エキストラの確保や撮影交渉などの支援を行うなど、ロケ地の誘致に力を入れている。 

 

 MVや映画、ドラマのロケ誘致に取り組む市のフィルムコミッションによると、23年発売の乃木坂46の「考えないようにする」のMVでは、同年8月上旬にJR用宗駅や県立美術館、市役所静岡庁舎本館など「オール静岡市」でロケが行われたという。市は公式ホームページに特設ページを作り、SNSで発信すると反響があり、ロケ地の一つである旧エンバーソン住宅では、23年度の来場者数が前年度比1・85倍に増えるなど、多くのファンが聖地巡礼を楽しんだという。 

 

 フィルムコミッション担当者は「聖地巡礼を通じて静岡市のファンを増やしていきたい。ロケ地以外の魅力的な場所も楽しんでもらい、市外、県外者の誘客につなげたい。市民にもMVなどで市内の魅力を再認識してもらいたい」と話している。 

 

 

 
 

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