( 322713 ) 2025/09/08 06:51:34 0 00 昼休業を実施している地方銀行の店舗(東京都内で)
国内の銀行で昼休みに店舗を閉める「昼休業」が広がってきた。地方銀行が先行して導入し、メガバンクでも一部の店舗で導入する動きが進む。人手不足と来店客の減少が進む中で、店舗網を維持する狙いがある。
みずほ銀行は8日から山形、松山(愛媛県)、山口の3支店と離島の2特別出張所で昼休業を始める。三菱UFJ銀行は2024年度に九州地方の4支店で導入し、11月17日から茨城県の水戸、土浦、山口県の宇部の3支店、同25日からは岐阜県の大垣、愛知県の蒲郡、新城、田原の4支店でも始める。
導入店舗では午前11時半から1時間、営業を中止する。現金自動預け払い機(ATM)は利用できる。
銀行の営業時間は、銀行法の施行規則で原則として午前9時~午後3時と決まっている。ただ、16年の同規則改正で、顧客の利便性を損なわない場合などには変更できるようになった。昼休業は17年に愛媛県の伊予銀行が最初に始め、全国地方銀行協会によると、現在では加盟61行の9割程度で導入済みだという。
インターネットバンキングの普及や低金利の長期化で、国内の銀行は10年代に店舗の削減を進めてきたが、バブル期に大量採用した行員の退職で人手不足は深刻化している。各行は店舗の行員の負担を減らし、少ない人数でも運営できるようにするために昼休業を導入している。
課題は顧客の利便性の維持だ。全店で導入済みの高知銀行は、近隣の支店同士で休憩時間をずらし、ホームページで周知している。一方、横浜銀行はコロナ禍に約120支店で導入したが、感染が落ち着くのに伴い、大半の店で昼休業を終了した。銀行業界に詳しい日本大学の杉山敏啓教授は「店舗網を維持するためにやむを得ない措置で、今後も定着するだろう。ただ、顧客との取引機会の損失につながるため、慎重に進める必要がある」と話す。
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