( 322931 )  2025/09/09 05:48:28  
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競馬学校(千葉県白井市)から来春の卒業生が初めてゼロになることがJRAから発表された。

1982年の開校以来の事態で、入学した7人のうち4人が退学、残り3人は留年したため。

競馬学校では3年間技術や知識を学び、厳しい体重管理や行動規制が設けられている。

騎手の収入は高いが、その道は非常に厳しく、規則を守れないと退学や留年のリスクがある。

JRAはこの状況に対し、顧客への期待に応えられないことを遺憾に思っているという。

(要約)

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卒業生ゼロは初めてのことだという(写真・時事通信フォト) 

 

 秋のG1が「スプリンターズステークス」(9月28日=中山)から始まるが、騎手を育成する競馬学校(千葉県白井市)の来春卒業生がゼロになることをJRAが公表した。1982年の開校以来、卒業生がゼロになるのは初めてのことだという。 

 

 JRAが運営する競馬学校では、3年間騎乗技術などを学び、騎手免許試験に合格すると騎手としてデビューできる。競馬担当記者が言う。 

 

「3年間にかかる費用は食事代120万円だけ。騎手過程にかかる費用はすべて無償化されています。応募資格は中学卒業以上の学歴と学力を有する15歳以上20歳未満の男女で、あとは体重制限(年齢によって46~49キロ)をクリアできれば応募できる。 

 

 そのため200人近い応募者が殺到し、1次・2次試験を経て10~15人に絞り込まれるという狭き門になっています。2次試験では保護者の面接も義務付けられている」 

 

 競馬学校は全寮制で、外出もほとんど認められていない。カリキュラムは一般教養(読み書き、茶道、美術など)、専門教科(関係法規、馬の知識、スポーツ栄養管理学)、実技(基本馬術、障害馬術、走路訓練、厩舎作業)、特別活動(社会見学)に分かれており、競馬学校やトレーニングセンター(美浦・栗東)での講義や実践が3年間続く。 

 

「競馬の技術面はもちろん、法令や規則、コンプライアンスの遵守を徹底的にたたき込まれ、規則が守れなければ退学となる。また、卒業時の上限体重が49キロと指定されており、体重管理ができなければ退学となる」(前出・競馬担当記者) 

 

 厳しい3年間を無事クリアすると、華やかな騎手生活が待ち受けている。JRAの場合、騎手全体の平均年収は1000万円。C・ルメールや戸崎圭太のようなトップクラスになれば年収1億~2億円を稼ぎ出す。2000万~6000万円が全体の6割といわれている。 

 

「競馬学校を卒業して騎手免許を取得すると厩舎に所属する。騎手の収入はレースに騎乗した時に支給される騎乗手当と騎手奨励手当、これにレースで獲得した賞金の5%が進上金(レース賞金)として支給される。 

 

 1日に数レース騎乗するため、5位までに入賞して進上金が支給されなくても、それだけでかなり結構な収入になります。キャリアや実績によって個人差があるが、新人騎手でも350万~500万円を稼いでいる。稼げるようになれば、厩舎から独立してフリーとなるが、騎手の生涯獲得収入は平均で5億~10億円といわれています」(同前) 

 

 こんな夢のある職業だが、来春に競馬学校を卒業予定の新人騎手がいないという。JRAの発表によれば、「42期生は192人から選ばれた7人が入学したが、規則が守れなかったり、体重管理ができなかったとして4人が退学、3人が留年(教育期間の延長)となり、開校以来初のケース」としたうえで、「楽しみにしてくださるお客様の期待に応えることができず残念です。責任を重く受け止めている」とコメントを出している。 

 

 レースの公正性を保つために、騎手は行動が厳しく管理される。週末のレースに騎乗の場合、金曜日の指定された時間までに宿舎の部屋に入り、日曜日のレース終了まで外出や電話が禁止される。しかもカロリー制限やサウナで体重コントロールを強いられる。それは騎手の卵であっても例外ではない。 

 

 公正確保の担い手でもある騎手という職業には高いレベルの意識が求められるようだ。 

 

 

 
 

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