( 322951 ) 2025/09/09 06:11:08 1 00 日本航空(JAL)のパイロットが再び飲酒トラブルを起こし、8月28日には機長が飲酒後に体調不良を訴え、便が遅延した。 |
( 322953 ) 2025/09/09 06:11:08 0 00 スプリング・ジャパンは成田空港を拠点とし、中国向けの国際線9路線、国内3路線を有する(撮影:尾形文繁)
またもや日本航空(JAL)のパイロットが飲酒トラブルを起こした。
夏の繁忙シーズンも終わりに近づいた8月28日、ハワイホノルル発・中部国際空港行きの便の機長が社内規定に違反して滞在先のホテルで飲酒。運航当日に体調不良を訴え、乗務予定だった便など計3便が遅延した。
パイロットの飲酒問題はJAL単体にとどまらずグループ企業でも起きている。今年5月にはJAL傘下の格安航空(LCC)、スプリング・ジャパンも同様の事例で国土交通省から厳重注意を受けた。現在のJALの出資比率は66.7%で、社長はJAL出身の浅見達朗氏が務めている。
実はスプリング・ジャパンでは、パイロットの採用や登用をめぐって飲酒問題を許容していると捉えられかねないことを行っている。
スプリング・ジャパンは他の国内エアライングループで飲酒問題を起こしたパイロット3人を雇用していた。東洋経済の取材で判明した。
■飲酒問題で事実上解雇の機長たち
3人はいずれも2018〜2019年の間に国内線で飲酒問題を起こし、事実上解雇された。2019〜2021年の間にスプリング・ジャパンへパイロット職として転職している。それも副操縦士ではなく機長として転職していた。うち1人はすでに退職し、外資系エアラインへと転じたもようだ。
スプリング・ジャパンに残っている2人は現在、審査操縦士や教官を務めている。審査操縦士や教官はパイロットの進退を決める権限を持っており、パイロットの中でも能力の高い人物が就く職位だ。2人の処遇などについては、証言や証拠を複数の関係者から得ている。
東洋経済はスプリング・ジャパンの広報部に質問状を送付。「過去に飲酒問題を起こしたパイロットを審査操縦士や教官に任命した理由」を問い合わせた。
スプリング・ジャパンの回答は次のようなものだ。
「飛行時間・知識・能力などを総合的に判断し、適正と認められた者を審査操縦士および教官として任命し、定期的に査定を実施しています。なお、現在の審査操縦士および教官の中に、飲酒をはじめ適性に疑義が生じている者はおりません」
審査操縦士や教官の中には「過去に飲酒問題を起こした人物はいない」と、関係者の証言などを否定しているようにも読める。確認のために再び質問すると、「個人に関するご質問については、個人情報保護法の観点から回答を差し控えさせていただきます」と明言を避けた。
■登用はモラルを問われる事態
現役社員は次のように嘆く。
「飲酒問題を起こしたパイロットを審査操縦士や教官に登用するとは、モラルを問われる事態。会社側から飲酒問題防止やコンプライアンスを説かれても、虚しく響くだけ。ただ、スプリング・ジャパンの問題と言ってほしくない。人事を牛耳っているのはJALからの出向者だからだ」
利用者も飲酒問題を起こした者がパイロットの最上位にいると不安を抱くだろう。「パイロットの質は大丈夫なのか」と問われた際、スプリング・ジャパンのパイロットはどう答えるのだろうか。
本記事の詳報版は、東洋経済オンライン有料版記事「【独自】JAL系の格安航空「スプリング・ジャパン」の人材起用に違和感あり、「過去に飲酒問題を起こしたパイロット」を重用」でご覧いただけます。
星出 遼平 :東洋経済 記者
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