( 323211 )  2025/09/10 05:31:18  
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不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏は、都心マンションの価格高騰や外国人の購入による問題について語っています。

特に、安全保障上の懸念に関連する土地取引は規制を強化すべきだとし、外国人による投資にも対応を分ける必要があると述べました。

シンガポールの印紙税制度を参考に、非居住者による投機的購入を防ぐ有効な手段として提案しています。

また、マンション管理でのトラブルや違法民泊の問題も取り上げ、対策を講じる重要性を強調しています。

(要約)

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牧野知弘氏 

 

 都心マンション価格は天井知らずの高騰を続け、溢れる情報と「バブル崩壊」の警鐘に、多くの住宅購入検討者が迷いを深めている。こうした状況に振り回されないための“基礎体力”こそ重要だと語るのは、不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏だ。 

 

 土地の本質的価値を読み解く方法から、コロナ禍以降のマンション価格高騰のカラクリ、将来的な不動産価値の見極め方、さらには首都圏の穴場エリアまで、同氏に縦横無尽に論じていただいた。短期連載全4回の第4回。(取材日:8月12日) 

 

――現在の不動産市場を語る上で、外国人による購入の問題は避けて通れません。安全保障上の懸念や、マンション管理でのトラブルも指摘されています。この問題に、どう対処すべきだとお考えですか。 

 

 この問題を議論する際には、まず2つの側面を分けて考える必要があります。一つは「国防・安全保障上の問題」、もう一つは「経済的な問題」です。 

 

 前者、つまり自衛隊基地や原発の周辺、水源地、離島、さらには食料安全保障に関わる農地や森林といった、国家の根幹に関わる土地の取引については、私は現在の「規制」では生ぬるいと思っています。明確に「禁止」すべきです。これは世界中の国が当然のように行っていることであり、日本の対応はあまりにも自由すぎます。 

 

 一方で、後者の経済的な問題、つまりタワマンが外国人に買い占められるといった事象については、ここでもさらに仕切りが必要です。「日本に住んで税金を納めている居住者の外国人」と、「旅行ついでに投資目的で不動産を買っていく非居住者の外国人」とで、対応を分けるべきです。 

 

 日本に住んでいる方については、国際的な協定もあり、日本人と同等の扱いで良いでしょう。しかし、非居住者については、彼らが日本の不動産市場を投機の対象として弄ぶことを防ぐ手立てが必要です。 

 

――具体的には、どのような対策が有効でしょうか。 

 

 私が最も効果的だと考えているのは、シンガポールで採用されている「印紙税」です。不動産を売買する際には契約書に印紙を貼りますが、シンガポールでは、外国人が不動産を購入する際の印紙税が、なんと物件価格の60%なんです。 

 

――60%ですか! 

 

 そうです。つまり、1億円の物件を買うと、印紙代だけで6,000万円かかり、合計で1億6,000万円を支払わなければならない。これでは投資利回りなどまったく見込めませんから、投機目的の購入は事実上ブロックされます。しかも、この税金は契約時に支払うものなので、後から徴収できない、という問題も起こりません。入り口で確実に課税できる、非常に有効な手段です。 

 

 空室税なども議論されていますが、これは捕捉が難しい。この印紙税方式であれば、非居住外国人による投機的な不動産購入を、効果的に抑制できると考えています。 

 

 

――マンション管理でのトラブルも深刻化していると聞きます。 

 

 はい。まず前提として、私たちが当たり前だと思っている「管理費・修繕積立金」という考え方自体が、世界共通ではないということを理解する必要があります。ですから、日本のそういったルールを周知徹底して、理解を進めるというのは確かに大事です。 

 

 その上で、生活習慣の違いから来るトラブルは後を絶ちません。タワーマンションの共用ロビーでカップ麺を食べていたり、仲間と集まって大声でゲームをしていたり。あるいは、玄関前のアルコーブを物置のように使ってしまったり。これらは、たとえば中国などではごく普通の光景だったりするわけです。 

 

 さらに深刻なのが「違法民泊」です。投資用に購入した部屋を、正規の届け出をせずに民泊として運用する。賃貸で貸すよりもはるかに儲かるからです。驚いたことに、あるマンションでは、違法民泊をやっている部屋とは別の部屋で「中華レストラン」を営業し、宿泊客にケータリングまでしている、というケースもありました。 

 

 こうした行為を野放しにすれば、街全体にいろいろな問題が出てきてしまいますから、毅然とした対応が急務です。 

 

 

 
 

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