( 323553 ) 2025/09/11 07:04:18 0 00 スキマバイトの企業側ドタキャン問題に厚労省が指針を公表
空いた時間を活用して面接なしですぐに働けるスキマバイト。“新しい働き方”として普及する一方、企業側の都合で仕事がキャンセルされ、労働者の権利が十分に守られていなかった実態があった。問題をいち早く本誌「週刊ポスト」が報じた後、厚生労働省がようやく重い腰を上げた。
〈「知らない」では済まされない「スポットワーク」の労務管理〉
そう銘打ったリーフレットで、スキマバイト(スポットワーク)を利用する企業に対し、労働契約締結時の注意点などをまとめた。
7月に公表したこの指針は「労働契約成立時期の明確化」と「休業手当の支払い」が大きな柱だ。これらがスキマバイトの重大問題となっていた。
スキマバイトは、スマホアプリを通じて手の空いた時間にこなせる仕事に応募し、企業側とマッチングすれば仕事が得られる働き方を指す。簡単に働き先が見つかることから人気を博し、現在の登録者数は延べ約3700万人と推計される。
「週刊ポスト」では、厚労省が指針を示す前からスキマバイト業界の「働き手軽視」に警鐘を鳴らしていた(6月27日・7月4日号)。
業界最大手・タイミーをはじめとするサービスでは、アプリ上で求人を検索し、勤務時間や報酬などの条件が合う仕事に申し込む。マッチング後、勤務当日は仕事を始める時と終わる時に勤務先にあるQRコードを読み込めば報酬が確定し、指定口座への振り込みが可能になる。
だが、マッチング後に企業が「ドタキャン」しても働き手に補償が支払われず、働き手が不利益を被るケースが頻出した。
被害を訴えた40代男性A氏が語る。
「タイミーで店舗販売業務に応募してマッチングしたところ、働く前の日に理由も明かされず一方的にキャンセルされました。スキマバイトの臨時収入が頼りなので補償してほしかったけど、対応する様子はなかった」
タイミー側はこれまで、「働き手が勤務当日に職場でQRコードを読み込んだ時点」で労働契約が成立すると主張し、企業側によるキャンセルの温床となってきた。
しかし、厚労省の指針では、この考えを否定。特段の合意がない場合は、〈事業主が掲載した求人にスポットワーカーが応募した時点で労使双方の合意があったものとして労働契約が成立するものと一般的には考えられます〉と明記した。
そのうえで、労働契約成立後に事業主の都合で丸一日の休業や仕事の早上がりをさせることになった場合、スポットワーカーに休業手当を支払う必要があると示した。
この指針にのっとれば、前出のA氏のケースは、マッチングで労働契約が成立してから企業の都合で休業させられたことになり、休業手当を受け取ることができるはずだ。
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※週刊ポスト2025年9月19・26日号
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