( 323763 )  2025/09/12 05:51:53  
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(c) Adobe Stock 

 

 高騰を続けるマンション価格を前に、多くの人が決断をためらっている。こうした状況の中、「値段が落ち着いたり給料が上がったりするのを待っていては手遅れになる可能性が高い」と警鐘を鳴らすのは、大手不動産会社で長らく不動産仲介に携わり、自身も25歳までに2度、武蔵小杉にマンションを購入したむさこボーイ氏だ。 

 

 プロの知見と実体験をもとに、首都圏マンション市況の現状から、初心者でも失敗しない「資産性」重視の物件選びの鉄則、さらには世帯年収別の狙い目エリアまで、同氏に本音でたっぷりと語ってもらった。全3回の第1回。みんかぶプレミアム特集「マンションはまだ稼げるか」第1回。 

 

 皆さんこんにちは。Xでマンションに関する情報発信をしているむさこボーイです。大手不動産会社で不動産仲介に携わり、自身でも二度、武蔵小杉でマンションを購入した経験から、若手サラリーマンやマンション一次取得者の方に日頃より様々なアドバイスをさせていただいています。 

 

 仕事柄、お客さまからもフォロワーさんからも、「今マンションを買うのは正解なの?」「買うならどのエリアを選べばいい?」といったご質問を非常に多くいただきます。 

 

 そこで今回は、私の経験をもとに、皆さんのマンション購入に関する疑問や不安に真正面からお答えしていきたいと思います。初めてのマンション選びで失敗しないための購入戦略から、年収別の具体的なおすすめエリアまで、すべて正直にお話ししていくつもりです。 

 

 まず、現在のマンション市況をどう見ているか、率直にお話ししましょう。これは私が現場の最前線にいるからこそ、肌で感じていることですが、「2025年8月現在のマンション市場は、ここ数年で最も活発な動き」だと断言できます。 

 

 特に潮目が変わったと感じるのが、今年の5月、ゴールデンウィーク明けからです。4月頃は、金融市場の動揺などから一時的に市場に「踊り場」のような雰囲気が漂っていました。しかし、5月以降にそうした懸念が和らぐと、それまで様子を見ていた方々の購入意欲が一気に回復し、中古マンション市場の在庫が猛烈な勢いで消化されていったのです。 

 

 在庫が減ると、市場には次々と「新着物件」が登場します。そして、こうした新着物件は、売り出し当初は「強気の価格設定」で出てくることが非常に多いのです。 

 

 

 すると、購入を検討している方々の心理はこう動きます。 

 

「今、目の前にあるこの物件を逃したら、次に出てくる物件はもっと高くなっているかもしれない……」 

 

「早く買わないと、どんどん価格が上がってしまうぞ……」 

 

 このような買い手心理が、さらなる購入意欲を後押しし、意思決定のスピードを早めます。このサイクルが、この4、5カ月の間に市場で明確に起きていました。もちろん、インフレや建築費の高騰といった、価格が下がる要因が見当たらないマクロ的な背景もありますが、それと同時に「買いたい」という人々の強い心理が市場を動かしているのが、今のリアルな状況です。 

 

「この価格上昇はいつまで続くのか?」という問いに対して、断言はできませんが、私の見立てでは「もうしばらく続く」と考えています。 

 

 首都直下型地震のような天災が起きる、あるいは金融機関が不動産への融資スタンスを急に厳格化するといった、よほど大きな外的ショックがない限り、この上昇トレンドは継続すると考えています。 

 

 なぜなら、価格が上がっているという事実以上に、「家を買いたい」という需要そのものが、かつてないほどに増えているからです。インフレが進む昨今では以前は「賃貸派」だった方々も、「このまま家賃を払い続けるよりも、資産になる家を買ったほうが良いのではないか」と気づき始め、購入検討者の仲間入りをしています。買い手の裾野が、着実に広がり続けているのです。 

 

 もちろん、価格上昇のペース自体は、一昨年や昨年に比べれば緩やかにはなっています。しかし、購入希望者の数、つまり市場の“熱気”という意味では、私の体感として「過去一番」と言っても過言ではありません。 

 

 では、このような状況で今、マンションを買うという選択は正解なのでしょうか。特に、私と同世代の20代の方や、初めての購入を検討されている方にとっては、最大の関心事だと思います。 

 

 結論から言えば、もしあなたが購入を迷っているなら、私は全力でその背中を押します。 

 

 経済学の世界には「r > g」という有名な不等式があります。これは、資本収益率(r)は、経済成長率(g)を上回る、という意味です。分かりやすく言えば、「あなたが働いて収入を上げるスピードよりも、不動産のような資産の価値が上がるスピードのほうが、圧倒的に速い」ということです。 

 

 たとえば、年収500万円の人が努力して年収1,000万円になるには、何年もかかるかもしれません。しかし、インフレ市場では1億円の不動産が2億円になるスピードのほうが、それよりもずっと速いのです。 

 

 マンション価格が2倍に?そんな訳ないと思うかもしれませんが、これは2023年から2025年のたった2年間でも実際に起きている事なのです。 

 

 これは少し極端な例でしたが、本質は変わりません。「給料が上がるのを待ってから……」と考えているうちに、マンション価格はあなたの収入の上昇率をはるかに超えるスピードで駆け上がっていってしまうのです。 

 

「早く買わないと、本当に買えなくなる」 

 

 これは、決して脅し文句ではなく、現実的なリスクです。特に、利便性の高い都心やその近接エリアに住みたいという希望があるのであれば、なおさら早めの決断が重要になると、私は考えています。 

 

むさこボーイ 

 

 

 
 

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