( 323786 )  2025/09/12 06:17:58  
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大阪・関西万博での「パークアンドライド(P&R)」駐車場が数十億円の赤字になる見込みが明らかになった。

万博協会は、駐車料金が高いことが不振の主な原因であると指摘している。

マイカーの乗り入れは禁じられており、事前予約制のP&Rが最大で1万1000台の駐車を提供。

しかし、来場者数が伸び悩み、赤字の解消は難しい状況だ。

万博の運営費は収入が好調で黒字に向かう見通しだが、P&Rの赤字が影響する可能性もあるため、協会は赤字幅の縮小に注力している。

(要約)

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収支が赤字になる見通しとなったパークアンドライドの駐車場。奥が万博会場(6日、大阪市此花区で、読売ヘリから) 

 

 大阪・関西万博で、マイカーを駐車場に止め、シャトルバスで会場に向かう「パークアンドライド(P&R)」の収支が数十億円の赤字になる見通しとなった。日本国際博覧会協会(万博協会)幹部が明らかにした。万博協会は、割高だと指摘された駐車料金の割引制度を設けて巻き返しを図ったが、打開策にはなっていない。(福永健人、猪原章) 

 

 万博協会は、人工島・夢洲(大阪市此花区)にある万博会場へのマイカーの乗り入れを原則禁じている。マイカー客向けには、事前予約制のP&Rを夢洲の隣の舞洲(同区)と堺市、兵庫県尼崎市に計3か所確保した。西ゲートと結ぶシャトルバスの運行経費は約90億円で、駐車場の料金収入で収支を均衡させる計画だ。 

 

 駐車台数は3か所で計約1万1000台。万博協会によると、赤字を出さないためには、夢洲の障害者用駐車場(200台)も含め1日当たり6000台超の利用が必要となる。しかし、万博協会の集計(4月13日~9月9日)によると、1日で最も多かったのは、開幕以来最多の20万9837人が来場した9月6日の5695台だった。 

 

 そもそもシャトルバスの輸送力に限りがあるため6500台ほどしか受け入れられず、伸びは期待できない。仮に10月13日の閉幕まで6500台が埋まり続けたとしても、会期前半の落ち込みが大きかったことが響き、大幅な赤字は避けられないという。 

 

 万博協会は赤字額について試算をしており、協会幹部は「数十億円規模になるのは間違いない」との見方を示した。別の協会幹部は「あとはいかに赤字幅を小さくできるかが焦点になる」と話す。 

 

 不振の原因は、料金が高かったことが大きい。 

 

 駐車料金は時期によって割引や加算があり、繁忙期の最大料金は舞洲が7500円、堺と尼崎が7000円。会場までのシャトルバスの料金はかからない。万博会場近くのテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」の駐車場料金は時期によって3600~3900円で、万博のP&Rが大幅に上回る。 

 

 

 2005年愛知万博では、来場者の多くがマイカーで訪れ、周辺道路で渋滞が発生したことを受け、今回は、公共交通機関での来場を促すことが念頭にあった。近年のバス運転士不足などでシャトルバスの運行経費が上昇したことも影響した。 

 

 開幕当初、利用台数は平日の平均が計700~1500台、土日祝日の平均が計2000台程度に低迷。東ゲートに直結する大阪メトロ中央線沿線の割安なコインパーキングに止め、中央線に乗り換えて会場に向かう人が相次いだ。来場者の交通手段は、中央線が7割を占める。 

 

 利用を促進するため、万博協会は5月24日から、当日予約で午後3時以降に駐車する場合は、繁忙期に舞洲が3500円、堺と尼崎が3250円など半額以下に値引きし、午前10時台と11時台に来場予約をしているP&Rの利用者には、入場ゲートでの優先レーンも設けた。 

 

 利用台数はその後増加したものの、万博協会の集計では、8、9月の平均はそれぞれ4000~5000台で、収支を安定化させるほどには至っていない。 

 

 万博の運営費は黒字が見えつつあるが、P&Rのような不安材料もある。 

 

 万博協会の計画では、会場運営や来場者輸送などにかかる運営費は1160億円。このうち8割の969億円を入場券収入で賄う想定だ。 

 

 入場券の販売枚数は好調で、5日時点で2070万枚を売り上げ、黒字の目安とされる1800万枚を大きく上回る。実際の売上高も969億円を超えたという。公式グッズの売り上げも順調だ。 

 

 万博協会幹部は「P&Rが数十億円の赤字になったとしても、入場券の売り上げで黒字は確保できるのではないか」とみている。ただ、台風などの災害が直撃すれば、新たに施設補修などの追加費用が発生するリスクもある。 

 

読売新聞社 

 

 

 
 

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