( 324068 )  2025/09/13 06:45:59  
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kapinon.stuio/shutterstock.com 

 

朝晩が少しずつ涼しくなり、秋の気配を感じる季節になりました。生活費を考えるとき、多くの人が気になるのが「年金」と「貯蓄」、そして最近では「物価の上昇」でしょう。 

 

今回は、総務省や厚労省、内閣府、帝国データバンクの調査をもとに、65歳以上・二人以上世帯の平均的な貯蓄額や年金額、シニアの働き方、さらに食品の値上げが家計に与える影響について解説します。 

 

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総務省統計局のデータ「家計調査報告(貯蓄・負債編)2024年(令和6年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」を参考に、世帯主が65歳以上かつ二人以上世帯の貯蓄について見ていきます。 

 

「家計調査報告(2024年)」によると、65歳以上・二人以上世帯の平均貯蓄額は2509万円、中央値は1658万円でした。貯蓄の分布を見ると、4000万円以上の世帯が20%を占めています。 

 

一方で、100万円未満の世帯も8.1%あり、貯蓄額には大きな差があります。3000万円以上4000万円未満の世帯は9.4%、2000万円以上2500万円未満は7.4%など、中間層も幅広く分布しています。 

 

統計からは世帯ごとに貯蓄額の差が大きいことがわかりましたが、老後の生活を安定させるには年金が重要な役割を担います。続いて、平均的な年金額とシニアの働き方について見ていきましょう。 

 

厚生労働省年金局が公表している「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から厚生年金と国民年金の平均年金月額を確認します。 

 

厚生年金の場合 

 

 ・平均年金月額:14万6429円 

 ・男性の平均年金月額:16万6606円 

 ・女性の平均年金月額:10万7200円 

国民年金の場合 

 

 ・平均年金月額:5万7584円 

 ・男性の平均年金月額:5万9965円 

 ・女性の平均年金月額:5万5777円 

厚生年金は、国民年金と比べて男女差があることがわかります。年金額には差がありますが、個々の就労期間や保険料の納付状況によって変わるため、あくまで参考値と考える必要があります。 

 

こうした平均額を見ると、「もう少し収入があれば安心」と思う方も少なくないでしょう。その場合、シニア世代でも働き続けることは選択肢のひとつです。 

 

内閣府「令和7年版高齢社会白書」によれば、「働けるうちはいつまでも」と答えた人は22.4%にのぼりました。 

 

以下は、「何歳ごろまで収入を伴う仕事をしたいか」に対する回答の割合です。 

 

 ・65歳くらいまで:23.7% 

 ・70歳くらいまで:20.0% 

 ・75歳くらいまで:13.7% 

 ・80歳くらいまで:5.3% 

 ・働けるうちはいつまでも:22.4% 

 ・仕事をしたいとは思わない:11.3% 

 ・不明・無回答:3.6% 

65歳以降も働きたいと考えている人が一定数いることもわかりました。 

 

65歳以上・二人以上世帯の平均貯蓄は約2500万円ですが、世帯ごとの差は大きく、生活の柱となるのは年金です。平均年金額を見ても十分とは言えない場合があり、多くの人が65歳以降も働くことを選択している実態が確認できます。 

 

 

帝国データバンクの調査によると、2025年9月の飲食料品値上げは1422品目となり、前年同月をわずかに上回りました。 

 

分野別では、マヨネーズやドレッシングを含む「調味料」が最も多く427品目でした。次いで「加工食品」が338品目、「菓子」が291品目と続き、日常的に利用する商品が多く含まれています。 

 

食品の値上げは9カ月連続で前年同月を上回り、4カ月連続で1000品目を超えました。2025年累計では2万品目を突破し、前年を大きく上回るペースとなっています。こうした値上げラッシュは長期化しており、家計への影響が一層強まっていることが明らかになりました。 

 

今回は、総務省・厚労省・内閣府・帝国データバンクの調査をもとに、65歳以上世帯の貯蓄・年金・働き方、そして物価上昇の影響について解説しました。 

 

65歳以上・二人以上世帯の平均貯蓄は約2500万円ですが、世帯ごとの差は大きく、生活の柱となるのは年金です。年金額は決して十分とは言えない場合もあり、多くの人が65歳以降も働くことを選んでいます。さらに食品の値上げが続き、家計への影響が一段と増しているのが現状です。 

 

こうした状況だからこそ、貯蓄・年金・就労収入をバランスよく組み合わせて生活設計を考えることが大切です。物価の上昇を前提にした家計の工夫を取り入れることで、安心して暮らしを続ける道が見えてきます。前向きにできる備えから始めていきたいですね。 

 

 ・総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2024年(令和6年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」 

 ・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」 

 ・内閣府「令和7年版高齢社会白書」 

 ・帝国データバンク「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2025年9月 

 

村岸 理美 

 

 

 
 

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