( 324408 ) 2025/09/15 03:29:09 0 00 2024年衆院選での高市早苗氏(写真:長田洋平/アフロ)
石破茂首相の後任を決める自民党総裁選への動きが加速している。5人が出馬するとみられているが、中でも注目度が高いのが前経済安保相の高市早苗氏だ。
SNS上では右派と左派で好き嫌いが極端に分かれる高市氏に対しては、裏金問題や旧統一教会との癒着という過去を抱えた議員が、続々と支援に名乗りを上げている。
■「再度立ち上がります」「ブレる事なく支持」
大手メディアの報道では、現時点では高市氏以外に、小泉進次郎農水相、小林鷹之元経済安全保障担当相、林芳正官房長官が総裁選に立候補するとみられている。既に立候補を表明した茂木敏充前幹事長と合わせて、5人となりそうだ。
高市氏は昨年の総裁選でも立候補し、1回目の投票では最も多い得票を集めるも、決選投票で石破氏に逆転された経緯がある。自民党が惨敗した2025年7月の参院選後に行われた各種世論調査では、次の首相候補として小泉氏と並んで高市氏の名が上位に挙がった。今回の総裁選で勝利すれば初の女性首相誕生となることからも、その動向に注目が集まっている。
まだ正式な出馬表明はしていないが、9月11日には推薦人20人の確保にめどが立ったことが複数のメディアで報じられた。ただ、高市氏の支援に回ると報じられている議員の顔ぶれは "札付き"の面々が目立つ。
西田昌司参院議員は9月10日、自身のYouTubeで高市氏の応援を表明した。西田議員は5月、沖縄戦で犠牲になった女子生徒らを慰霊する「ひめゆりの塔」の説明について「歴史を書き換えると、こういうことになってしまう」と発言した人物だ。
山田宏参院議員も11日、自身のX(旧Twitter)に「いよいよ『高市早苗』が、再度立ち上がります」と息巻いた。山田議員はかつて、「保育園落ちた日本死ね」ブログを「親の責任」と断じ、週刊誌に隠し子疑惑を報じられた。
なお西田議員、山田議員いずれも率先して「石破おろし」に動いていた旧安倍派の「裏金議員」だ。
さらに8日には、高市氏を支援する議員たちの会合の様子がテレビで報じられた。ここには、旧統一教会と接点があった尾崎正直衆院議員、小林茂樹衆院議員、若林洋平参院議員、裏金問題を起こした加藤竜祥衆院議員、佐藤啓参院議員の姿が映り込んでいた。
この他、旧統一教会と接点があった中村裕之衆院議員も10日、自身のXで「政治家として決断ができる高市早苗さんを中村はブレる事なく支持していきます」と表明した。
一方で、高市氏には障壁があるとの見方がある。政治評論家の田崎史郎氏は9月8日、テレビ朝日の「モーニングショー」に出演した際、「確実に推薦人20人を今でも集められる人は3人」と指摘。小泉氏、林氏、茂木氏は確実だが、高市氏と小林氏は苦戦するという見立てを語っていた。
高市氏は昨年の総裁選では推薦人20人のうち13人が、いわゆる「裏金議員」だった。さらに石破政権下で行われた昨年10月の衆院選と今年7月の参院選で、この20人のうち落選や不出馬などで杉田水脈氏ら9人が議席を失った。
推薦人20人はめどが立ったとみられるが、総裁選では保守票の奪い合いが起きるとも予想されている。それは、小林鷹之氏の立候補だ。
小林氏は高市氏に先立ち、9月11日に総裁選への出馬の意向を表明した。「野党の皆さんと、この少数与党の状況の中で、誠実に向き合っていく」と語った。
この動きにXでは、高市氏の支持層から「懸念されるのがコバホークが出ることで保守の票が割れるということ」「小林、今回出馬することで、俺たち保守からも嫌われることを分かってるのかね?」などの不満がいくつも漏れた。
小林氏の出馬意向を伝える記事には、同氏本人に向けた厳しい意見もあった。「総裁になりたいというより、政治的立ち位置を強化したい意図が強いと見るのが自然」「自分達の事だけを考え、国民の事を考えもしない自民党政治家の典型」――こんな具合だ。
一方、裏金や旧統一教会など、そもそも自民党の信用失墜を招いた張本人らが相変わらず高市氏を支えるという構図に、Xでは呆れたような反応も目立っている。「推薦人は恐らく裏金議員。集めりゃいいってもんじゃない」「これ見れば、高市がどういうことやるか一目瞭然」。
共同通信が9月11、12日に実施した世論調査によると、石破首相の退陣が自民党の信頼回復に「つながらない」との回答が76.4%。総裁選の「内部抗争」は、世間からは冷めた目線で見られている。
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