( 324418 )  2025/09/15 03:40:35  
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池上彰氏(2024年1月撮影) 

 

 元NHKのジャーナリスト池上彰氏が、13日放送のテレビ朝日系「池上彰のニュースそうだったのか!!」に出演。国の生活保護制度が「外国人を優遇している」と指摘する政治家やネット上などの声について、データをまじえて解説した。 

 

 池上氏は、外国人の生活保護需給について、「政党がいろんなことを言っていたり、SNSには、外国人に対してかなり過激な差別的な言葉も出たりする」と現状を説明。「日本では外国人に対してどんなルールがあるのか、それを知った上で、どう考えるのか」と、まずは現状を知ることが重要と指摘した。 

 

 まず、昨年の訪日観光客は3687万人であることや、ビジネス目的などで3カ月を超える中長期在留者は377万人で、3年連続で過去最多を更新していることを説明。池上氏は「生活保護、どんな外国人が受給できるのかというと、もちろん観光客は対象外ですよね。ざっくり言うと、日本で長く生活している外国人のみ」と紹介し、10年間の在留をへて資格を得た永住者、日系3世などの定住者、永住者の配偶者、特別永住者、難民認定者などをあげ「こういう人たちの中で生活に困った人」と説明した。さらに「ビジネス目的で来日した技能実習生、留学生、こういう人は受給できない」と補足した。 

 

 続けて、「外国人が受給するのは違法」との一部の声についても解説。まず、1950年施行の生活保護法の条文で、生活保護の対象について「生活に困窮するすべての国民に対し」と書かれていることをあげ「国民、つまり日本人だけですよ、というのが元々の生活保護法だった」と前置きした。その上で1954年に出された「旧厚生省の局長通知」を紹介。「『生活に困窮する外国人に対して、保護を準用できる』。つまり日本人と同じように生活保護を与えてもいいですよ、こういう通知が出ているということですね」と経緯を語った。 

 

 池上氏はその通知の背景について、戦後まもない時期だったことをあげ「朝鮮半島や台湾などから日本に来て、望まないまま、日本で生活する人もいた。人道的な観点から、受給できる、という立て付けで準用という形で始まった」と説明。以降「自治体の裁量で外国人も対象にできる」とした。 

 

 また、外国人の増加に伴う受給者や国民の負担増加についての不安の声にも言及。生活保護の需給世帯数は04年度の2万7075世帯から23年度には4万5973世帯で、20年間で約1・7倍に増加している一方、13年度以降はほぼ横ばいとなっているグラフも示した。池上氏は「(20年間で)増えているのだけを見て『生活保護が増えている』というわけですけど、単純に外国人がおおぜい、日本に来ているわけですよね。外国人の数は増えているんですけど、受給者というのは、ここ10年、ずっと横ばいなんですよね。こういうのを冷静に見ていくというのが大切なことなのかな、と思いますよね」と私見を語った。 

 

 

 
 

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