( 324758 ) 2025/09/16 05:01:02 0 00 宮城県岩沼市では7日、「敬老のつどい」が開かれた。80歳以上の約500人が抽選会などで盛り上がった。市によると、自治体主催でこうした行事を開くところも減っているという
15日は敬老の日。長寿のお祝いにお金や記念品を贈る自治体が多いが、宮城県内で、その金額が軒並み減っている。高齢化が進んで対象者が増え、財政上の負担になってきたためだ。
「敬老祝い金」「長寿金」などの名称で、77歳の喜寿や88歳の米寿、100歳を迎えた人などに数千円から数十万円が贈られてきた。市町村独自の事業として、1960年代ごろから全国に広がったとされる。
それが近年、見直すところが増えている。
名取市は77、80、85歳時に各5千円、88歳1万円、90歳2万円、95歳3万円、99歳5万円、100歳20万円、101歳以上は毎年2万円と、小刻みに渡していた。今年度からは金額は変えず、77歳、88歳、100歳の3回だけに縮小する。100歳まで生きた人の場合、従前なら累計で32万5千円もらえていたのが、新制度では21万5千円に減る。
多賀城市も今年度、88歳時の1万円を5千円に、100歳時は居住年数によって最大20万円だったのを5万円に減額した。岩沼市は昨年度から99歳時の5万円を1万円に減らし、101歳以上は毎年最大10万円を贈っていたのを、花束と祝詞(のりと)だけに変えた。
こうした動きは全国の自治体で起き、祝い金を廃止する所も出てきている。
理由はどこも、高齢者増に伴う財政負担を考えてのことだ。名取市の担当者は「介護保険事業での市の負担が増えることも踏まえ、全員に配る祝い金よりも、介護予防や生活弱者のお年寄り支援につながる施策に力を入れたい」と説明。見直しで浮いた分は、独居高齢者の緊急通報システムや補聴器購入費の補助、歯科健診事業などに充てるという。
同市では昨年度、祝い金事業に計3006万円がかかったが、改正で今年度は1600万円余りの見込みだ。
ただ、祝い金を楽しみにしているお年寄りもいる。直接配られるお金が減ることに、各地の議会では反対も起きた。
名取市では、当初案よりも削減幅を小さくする修正案を議員が提出し、そちらが採用された。大和町では昨年、町が敬老祝金等支給条例を改正しようとしたところ、一部議員が「拙速だ」と反発し、いったん議案を撤回。同様に削減幅を小さくする案を出し直して、認められた。
県内の14市を調べたところ、祝い金がないのは大崎市のみ。旧古川市時代の2005年に制度を廃止し、現在は88歳時に木製食器、100歳時に記念の盾と花束を贈っている。
一方、最も手厚いのは富谷市だ。80歳の5千円に始まり88歳、90歳、100歳と、合わせると最大33万5千円を贈る。18年度に減額などの見直しをし、現状になっているという。(石橋英昭)
朝日新聞社
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