( 325283 ) 2025/09/18 05:42:39 0 00 8月に飲酒問題を起こした機長を懲戒解雇したJAL(資料写真)=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
日本航空(JAL/JL、9201)は、ハワイで8月に飲酒問題を起こした男性機長(64)を9月11日付で懲戒解雇した。また、鳥取三津子社長ら全役員の報酬を減額する処分も17日に決定している(関連記事)。
JALの定年は60歳。解雇された元機長は定年退職後、1年契約の嘱託として乗務していた。今回の飲酒問題で、乗務予定だった現地時間8月28日のホノルル発中部行きJL793便(ボーイング787-9型機、登録記号JA874J)が定刻より2時間8分遅れ、ほかのホノルル発2便もパイロット手配の関係でそれぞれ18時間以上の遅延が生じ、3便合わせて約630人に影響が出た。
国土交通省航空局(JCAB)は、JALに対して行政指導にあたる「厳重注意」を10日に行っており、元機長はその翌日に解雇された。
厳重注意に至ったことを受け、鳥取社長は月額報酬を2カ月間30%減額。安全責任を負う「安全統括管理者」の中川由起夫常務と南正樹運航本部長は同20%減額を1カ月間、社外取締役を含む全取締役と全執行役員も同10%減額を1カ月間とした。また、30日までに再発防止策を国交省へ提出する。
国内では2018年以降、パイロットの飲酒に起因する遅延などが各社で発覚。JALでは、8月の問題以前では豪メルボルンで2024年12月1日に起きており、機長2人が解雇されている。JALが実施しているパイロットのアルコール検査は、自主的なものも含め4段階で、このうち最後に国交省が定める本検査「乗務前検査」を行っている。
一方、海外では本検査にあたる検査のみで、アルコールが検知されると即解雇される「一発アウト」の国が多い。問題発生後、飲酒に対しては反省や改善が見られても、他の欲求を自制できるかなど、安全を守るパイロットとしての資質に疑念が生じるためだ。日本のアルコール検査体制は「検査のための検査」が行われている状態で、将来見直しが行われない場合、採用競争力の低下や離職といった別の問題に波及する可能性があり、慎重な判断が求められる。
Tadayuki YOSHIKAWA
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