( 325503 )  2025/09/19 04:46:19  
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総裁選への立候補を決めた小泉進次郎農水相(2017年撮影) 

 

 自民党総裁選について2025年9月13日、小泉進次郎農水相(44)が地元支援者に立候補の意思を伝えた。もし、小泉氏が首相となると44歳。じつは初代内閣総理大臣(1885年)の伊藤博文が首相になったのは小泉氏と同じ44歳の時である。平均寿命も高くなった今の時代、小泉氏は首相としては若すぎるのか? 

 

■明治中期の平均寿命は40代前半 

 

 16日には小林鷹之元経済安全保障相(50)と林芳正官房長官(64)も立候補の意思を正式に表明、高市早苗元経済安全保障相(64)も週内に正式表明する予定だ。中でも若い小泉氏に対しては、「経験不足」などの批判あるが、海外では、30、40代の指導者が続々誕生している。 

 

 江戸の幕藩体制から明治の近代国家に移行する過程で、1885(明治18)年に内閣制度が創設され、初代の首相が伊藤だった。明治中期の男性の平均寿命は40代前半だったことを考えると、平均寿命が倍近くに伸びた現在、今の44歳は確かに若い。 

 

 戦後で言えば、52歳で第一次政権の首相になった安倍晋三氏が、田中角栄氏(54)や細川護熙氏(55)を跳び超えて、最も若い首相となった。小泉純一郎首相は59歳だった。 

 

 ちなみに、首相は岸田文雄氏(68)でちょうど100代。ただし、伊藤博文のように4回も首相になった人もいるので、首相は64人目だった。次の首相は104代目となる。 

 

 世界に目を向けると、2024年1月にフランスでは最年少のアタル首相(34)=当時=が誕生した。アタル氏を任命したマクロン大統領自身、17年に史上最年少の39歳で大統領に就任した。同じ17年には、オーストリアで、世界最年少で就任した31歳のクルツ首相が誕生、19年末にはフィンランドで女性のマリン首相(34)=当時=が就任した。 

 

 欧州では30代、40代のリーダーが珍しくなくなったなかで、トランプ大統領(79)を選出した米国大統領選で最後まで対抗馬としての闘いを目指したバイデン氏(82)とは「超高齢対決」だった。ある調査では、世界の国会で、45歳以下の国会議員の割合は、韓国、米国、日本の順に低かった。 

 

 

 今回の、総裁選の前哨戦の段階で、「小泉氏は今回、出馬を見送るのではないか」との憶測が党内に流れた。44歳という年齢からくる推測で、「少数与党という不安定な現状では、首相はとりあえず林官房長官など実務家のリリーフ役に任せて、小泉氏は幹事長や官房長官など経験を積んだ方がいい」というものだった。 

 

 ただ、自民・公明の少数与党を取り巻く状況は厳しく、野党が分散し、自民党との連立交渉などで、揺さぶりをかけるなか、自民党内の「保守、リベラル派」などの分裂の可能性も否定できない、などの判断から、小泉氏は最終的に出馬に踏み切ったようだ。今回の総裁選候補には、小林氏(50)など若手候補もいるし、連立を探る動きもある野党党首にも若いリーダーが少なくない。国政選挙では若い有権者の投票動向に注目が集まる中で、政治リーダーの年齢も政局のひとつの焦点になりそうだ。 

 

(ジャーナリスト 菅沼栄一郎) 

 

 

 
 

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