( 325578 )  2025/09/19 06:13:38  
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首相官邸 

 

 政府は自国のデータや技術をもとにした国産AI(人工知能)の開発に乗り出す。文章などを自動的に作り出す生成AIは米中が開発で大きく先行するが、海外製への依存は、データの海外流出や日本に関する誤情報の拡散を招く恐れがあり、安全保障上、問題視されている。学習データなどの開発資源を日本企業に提供してAIの開発を支援し、信頼性の高い国産AIの確立を目指す。 

 

 総務省所管の国立研究開発法人・情報通信研究機構(NICT)が20年近くにわたって収集した日本語データを提供し、AI開発企業プリファード・ネットワークス(本社・東京)が日本の文化や習慣、制度などについて信頼性の高い回答を出すAIを共同開発する。開発した国産AIは、IT企業のさくらインターネットが国内のデータセンターを通じて提供することを想定する。 

 

 開発にあたり、良質な日本語データの整備や、傑出した能力を持つスター技術者の登用、開発インフラの提供などを、総務省や経済産業省が資金面などで後押しする方針だ。開発した国産AIは政府や自治体、企業が利用することを念頭に置く。AIの学習に使うデータの提供や、AIの頭脳となる「大規模言語モデル」の開発、データセンターの運営をすべて日本の企業や機関が担い、国内で完結する形で生成AIを開発、提供することを目指す。 

 

 国内では米国や中国の海外製AIの利用が広がる。だが、海外製は学習データなど開発過程が不透明で、「日本として許容できないデータが学習されている恐れがある」(政府関係者)との懸念もある。 

 

 海外製は英語のデータを中心に学習しており、日本の文化や歴史などの理解も不十分だとされる。AIの回答が開発国の主義や主張に影響を受けるという問題も指摘され、中国の生成AIディープシークに対し、自民党の小野寺政調会長が「尖閣は日本の領土か」と尋ねたところ、「尖閣は中国固有の領土」と答えたという事例もある。 

 

 AIの海外への依存には一定の危険性があるとみて、政府は日本の文化や習慣、歴史などを踏まえて信頼性の高い回答を出すAIの開発を後押しすることにした。 

 

 

 AI開発には大量のデータやコンピューター、優れた専門人材などが必要になるが、開発資源が豊富な米中が先行し、日本は後れを取っている。 

 

 生成AIの性能に関する国際的な指標「アーティフィシャル・アナリシス・インテリジェンス・インデックス」によると、米オープンAIや中国アリババ系など米中のAIが上位を独占する。米中のAIを基盤に使う日本企業も増えており、海外依存に懸念が広がっている。 

 

 

 
 

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