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来月の10月は職場の移動が多く、キャリアについて考える人が増える時期です。

就職氷河期世代は1990年代から2000年代初めにかけて厳しい雇用環境の中で就職活動を行った世代で、現在も多くの人が不安定な雇用に苦しんでいます。

政府はこの世代への支援として専門窓口や正社員化支援を行っていますが、依然として不本意な非正規雇用者が多く残っています。

 

 

40〜50歳代の単身世帯の貯蓄額は、40歳代の平均が883万円、50歳代の平均が1087万円ですが、中央値はそれぞれ85万円と30万円と低く、約3〜4割が貯蓄ゼロとなっています。

また、手取り収入からの預貯金の割合は12〜13%程度で、持ち家率は40歳代で20%、50歳代で35%という低水準です。

これらの状況を踏まえ、高齢期に向けた支援策が求められています。

 

 

(要約)

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metamorworks/shutterstock.com 

 

来月、10月は社内での移動が多くなる時期。職場の環境が変わることで、改めてキャリアを考え直す方もいるでしょう。 

 

雇用環境が厳しい1990年代〜2000年代初めに就職活動を行った世代を就職氷河期世代と呼びます。当時は大卒でも正規雇用に就くことが難しい時代でした。 

 

現在、ハローワークにおける専門窓口の設置をはじめとして就職氷河期世代への支援が行われていますが、まだ正規雇用に就きたくても就けないという就職氷河期世代の方もいます。 

 

今回は就職氷河期世代への支援状況や40〜50歳代・単身世帯の貯蓄額などについてみていきます。 

 

※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。 

 

内閣官房就職氷河期世代支援推進室「就職氷河期世代等の支援について」によれば、就職氷河期世代の支援として、対象をバブル崩壊後の雇用環境が厳しい1993〜2004年に就職活動を行い、今も本意ではなく不安定な仕事に就いている人や、長期にわたり無業の状態にある人としています。 

 

これまでも就職氷河期世代への支援は行っており、たとえば「正社員化支援」としてハローワークにおける専門窓口の設置や非正規雇用労働者を正社員転換した企業への助成、就労やリ・スキリング等の支援を行う自治体の支援、国や自治体における採用などをおこなっています。 

 

なお、ハローワークにおける専門窓口の設置では2020年4月〜2025年2月で正社員就職が約56万人、国や自治体における採用では2020年4月〜2024年3月で国家公務員が4586人、地方公務員が1万4299人となっています。 

 

一方で、同資料によれば1974〜1983年生まれの方で不本意非正規雇用労働者の方は、2019年の46万人から11万人減少していますが、2024年で約35万人です。 

 

就職氷河期世代の方は40〜50歳代となり、現代の生活だけでなく、老後資金についても備えたい年代です。金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」によると、就職氷河期世代である40歳代、50歳代の単身世帯の貯蓄額は以下のとおりです(※貯蓄額には日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれていません)。 

 

●【40〜50歳代】貯蓄額の平均値 

 ・40歳代:883万円 

 ・50歳代:1087万円 

●【40〜50歳代】貯蓄額の中央値 

 ・40歳代:85万円 

 ・50歳代:30万円 

貯蓄額の平均をみると800〜1000万円台ほど。まとまった貯蓄額がある印象ですが、中央値は100万円未満です。特に50歳代では40歳代より低く50万円未満となっています。年代ごとの貯蓄額分布も見てみましょう。 

 

●40歳代の貯蓄額分布 

 ・金融資産非保有:33.3% 

 ・100万円未満:15.4% 

 ・100〜200万円未満:7.7% 

 ・200〜300万円未満:5.2% 

 ・300〜400万円未満:4% 

 ・400〜500万円未満:1.2% 

 ・500〜700万円未満:4.9% 

 ・700〜1000万円未満:4.6% 

 ・1000〜1500万円未満:5.9% 

 ・1500〜2000万円未満:2.8% 

 ・2000〜3000万円未満:3.7% 

 ・3000万円以上:8.6% 

 ・無回答:2.5% 

●50歳代の貯蓄額分布 

 ・金融資産非保有:40.2% 

 ・100万円未満:13.1% 

 ・100〜200万円未満:4.1% 

 ・200〜300万円未満:2.7% 

 ・300〜400万円未満:3.8% 

 ・400〜500万円未満:1.9% 

 ・500〜700万円未満:3.3% 

 ・700〜1000万円未満:3.8% 

 ・1000〜1500万円未満:5.5% 

 ・1500〜2000万円未満:3.3% 

 ・2000〜3000万円未満:3.8% 

 ・3000万円以上:11.2% 

 ・無回答:3.3% 

分布をみるとおよそ3〜4割が貯蓄ゼロとなっており、まとまった貯蓄を保有することが難しい方方も少なくないとわかります。 

 

 

同資料より、手取り収入からどれくらい預貯金へ振り分けているかも確認しましょう。 

 

●40歳代〜50歳代単身世帯「手取り」から預貯金への振り分け割合の平均 

 ・40歳代:12% 

 ・50歳代:13% 

どちらの年代も12〜13%程度となりました。なお、0%という方も40歳代で12.4%、50歳代で10.1%となっています。 

 

内閣府のはじめの資料によれば、新たに取り組む課題として高齢期を見据えた支援が挙げられています。 

 

課題として挙げられているのが就職氷河期世代の賃金上昇幅が相対的に小さいことや、金融資産が少ないこと、また単身世帯の持ち家率が低いことなどです。 

 

単身世帯の持ち家率は、2023年で40歳代は20%、50歳代は35%となっており、多くの人が持ち家ではありません。賃貸の場合は老後を迎えても家賃を払い続ける必要があるため生活費が苦しくなったり、また年齢によっては家を借りにくくなったりする場合もあるでしょう。 

 

高齢期を見えた支援として就業機会の確保、家計改善・資産形成の支援、住宅確保の支援の支援が挙げられていますが、いずれも重要な支援となります。キャリアやマネープランについて自身で考えるほか、新たな情報やニュースが出た場合には情報をきちんと調べるようにしましょう。 

 

 ・金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」 

 ・内閣官房就職氷河期世代支援推進室「就職氷河期世代等の支援について」 

 ・総務省「2020年基準 消費者物価指数全国 2025年(令和7年)8月分」 

 

宮野 茉莉子 

 

 

 
 

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