( 326373 )  2025/09/22 06:01:55  
00

中国人富裕層が日本で坪単価700万円超の超高額マンションを続々購入…理由は「子どもを東大に入れるため」 

 

東京の湾岸エリアを舞台に繰り広げられる、タワマン文学に象徴される“マウント合戦”。しかし、その階層格差をあざ笑うかのように、都心の超高額不動産を静かに買い集める、さらに上の階層が存在します。本記事では、牧野知弘氏による著書『不動産の教室 富裕層の視点が身につく25問』(大和書房)より、日本の人口構造の変化を背景に台頭してきた新富裕層の実態を解説します。 

 

メディアでタワマンが頻々に取り上げられるようになって久しいです。都心部ににょきにょき立ち上がっているタワマンですが、このうち東京の湾岸エリアにあるタワマンがメディアで取り上げられる傾向が強いようです。 

 

湾岸エリアとはどのあたりかというと、正確な定義はありませんが、東京湾沿いに東から江東区の新木場、東雲、豊洲、有明付近、中央区の佃、月島、勝どき、晴海付近、港区の芝浦、港南付近、品川区の東品川あたりまでを指します。これらのエリアはもともと貿易、海運関係の施設が多く、工場や倉庫が林立していました。 

 

今やタワマン街として有名な中央区佃は、かつては石川島播磨重工業(現在のIHI)のドックがあったところです。中央区築地の明石町で育った私は、小学校の頃、月島にいる友達の家に遊びに行くときにはドックには立ち入らないようにいつも母親から注意をされるくらい、暗くて人気のないエリアでした。 

 

ところが佃では1980年代後半くらいからドックの跡地などを中心にタワマンの開発が進み、この流れが中央区内では月島、勝どき、晴海へと、江東区内では豊洲、東雲方面へと発展していきました。交通網も整備され、東京メトロ有楽町線、都営地下鉄大江戸線、ゆりかもめ、りんかい線、JR京葉線などが都心とつながることで、交通利便性の良さがタワマン人気に火をつけました。 

 

続々と立ち上がるタワマンは、これまでなかなか都心部に住むことができなかった若い層に注目されました。当初は分譲価格もリーズナブルで勤務先に近く、保育所や幼稚園が次々に開園したことから夫婦共働きで子供がいるDEWKS(Double Employed With Kids)の関心を大いに呼び込みました。また、高層階から東京ベイを睥睨する景色はまさに東京ライフの象徴として、大手町の金融街に勤める大手企業サラリーマンや医師、弁護士、経営コンサルタントなどに人気となりました。 

 

古くからの東京人からみると、あまり良い印象がなかったエリアでしたが、そうした記憶がない地方出身者からは湾岸タワマンは大いに評価されたのです。 

 

この湾岸タワマン族とも呼ばれる人たちは、一般的に上昇志向が強く、タワマンを含む不動産価格の上昇に大いに満足して、自らの資産価値の上昇を周囲にも吹聴する傾向が強いようです。タワマン文学などといわれるように、上層階の住民が下層階の住民にマウントをとるなどという嘘のような本当の話が出るのも、この強烈な上昇志向の裏付けなのかもしれません。 

 

ただ、最近になってこの人気にあやかって湾岸タワマンを買った人の多くは、かなりの金額の住宅ローンを組んで手に入れているため、必ずしも純金融資産で1億円を超える富裕層になっている人ばかりではありません。あくまでも含み益の実現を夢見て、将来、富裕層にのし上がっていこうという種族といえます。 

 

 

総務省が発表した「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数のポイント(令和6年1月1日現在)」によれば、日本の人口は1億2488万5千人。前年より53万1千人の減少となりました。日本の人口は2009年をピークに15年連続減少したことになります。 

 

このデータを注意深く、日本人だけに限ってみると86万人も減少しています。補っているのが在留外国人です。在留外国人人口は332万3千人と前年より32万9千人、前年比で11.01%も増加しています。在留外国人数は1990年代後半から増加ピッチを高め、2021年、22年のコロナ禍による減少を経て23年以降は急激にその数を伸ばしています。いわば日本の人口減少を在留外国人の増加で緩和しているというのが実態なのです。 

 

現在、日本国政府は異次元の子育て政策を掲げ、人口減少に何とか歯止めをかけようと躍起です。しかし、厚生労働省の発表では2024年の出生数は72万人と過去最少を記録、高齢化を背景とした死亡者数の増加で人口の自然減状態がさらに悪化していくことは明らかです。 

 

いっぽう在留外国人は転入者が60万6千人、転出者28万8千人で31万8千人増加しています。これに彼らが日本国内で出生する子による自然増1万1千人を加えると32万9千人の増加です。日本人には見えない顔立ちでも日本語を流ちょうに操る人が目立って増えているのは、こうした在留外国人を親に持つ子どもが増加しているからです。顔立ちは日本人には見えなくても、名前は日本人っぽい、あるいは英語が喋れない子が目立つのはこうした時代背景があるのです。 

 

日本のエリート層に食い込む高給外国人 

 

すでに在留外国人数は国内の農業従事者数116万4千人(2023年)の2.85倍、全人口の2.66%を占めるまでにその存在感を増しています。世帯数においてはさらに在留外国人の存在が大きくなっています。 

 

同じく総務省調査によれば日本の世帯数は6077万9千世帯。前年より51万2千世帯の増加となりました。この内訳をみるに、日本人世帯数が24万5千世帯の増加にとどまったのに対して、外国人世帯数の増加は26万7千世帯と日本人世帯の増加数を凌駕しています。 

 

東京都は常に人口が増えていると言われます。こう言われると、相変わらず地方から若者が東京に集まってくる、コロナ禍では郊外や地方に人が分散すると予測されたがやっぱり東京がよいのだと報道されていますが実態はやや異なります。 

 

都内在留外国人数は2024年1月1日で64万7416人。前年より6万6304人も増加しています。同期間の東京都全体の人口増は7万237人でしたから、東京の人口増もそのほとんどが外国人人口の増加に頼っているのです。 

 

このように日増しに存在感を強める在留外国人は、不動産マーケットの中でも威力を発揮し始めています。外資マネーによる日本の不動産の積極的な取得が話題になって久しいです。昨今も外資系投資ファンドによるJREIT買収や大型のオフィスビル、レジデンスバルク、ホテルチェーン、ロジスティクス(倉庫)の買い占めなど、荒っぽい動きが目立ちます。 

 

しかし注目すべきは2010年代以降に日本にやってきた専門的な知識や技術を持つ外国人高度人材や留学生が、日本に定住し、世帯を持つようになってきたことです。都内で分譲される、坪単価が700万円を超えるような超高額マンションでも買い手に多くの在留外国人の名があります。 

 

彼らはIT系や国際金融系などの会社に勤める、自ら日本国内で起業をするなどした高収入の人材であり、年収も数千万円から1億円を超えています。彼らの多くは結婚をして日本国内で所帯を構え始めています。必然として住宅購入のニーズが高まっているといえます。 

 

特に経済的に恵まれた中国人は、中国国内での不動産所有のリスクを避けて、日本国内で不動産を所有するニーズが高く、また彼らの子弟が日本で育ち学齢期に入ってきていることが住宅取得の背景にあります。 

 

高度人材の外国人子弟は、親の教育熱も高く、成績で上位を占める子弟も珍しくありません。有名私立進学校に合格するケースが増えており、特に中国人は、母国のトップ校である北京大学よりも日本の東京大学のほうが、入試が易しいことから、東京大学に進学する、またはもっと入学が難しい欧米の超難関大学を狙う傾向があるというから驚きです。 

 

こうしたリッチな在留外国人の台頭も日本社会の構造に大きな影響を与え始めていると言えるのです。 

 

不動産事業プロデューサー 

 

牧野 知弘 

 

牧野 知弘 

 

 

 
 

IMAGE