( 327086 )  2025/09/25 04:57:43  
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住宅を持ち、家族を養いながら働く中産階級が現代で直面する生活の厳しさを描いた事例として、東京都内の会社員・見沢俊哉さん(仮名)が挙げられています。

彼は44歳で、妻と二人の中高生の子供を持ち、年収450万円で苦しい家計を維持しています。

住宅ローンがまだ半分も返済しておらず、教育費の高騰に加え、親からの援助がなければ生活が成り立たない状況です。

会社の将来に不安を抱えつつ、普通の生活を目指して働いても報われない現実に疲弊し、希望が持てないという心情が表れています。

現在の社会は、かつての「普通の暮らし」とは大きくかけ離れた難しさを持っています。

(要約)

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(※写真はイメージです/PIXTA) 

 

住宅を持ち、妻と子を養いながら、勤め先でコツコツと働く——それが“普通の家族”の姿だと信じてきた人ほど、今の時代に直面する生活の厳しさに戸惑っています。可処分所得の目減り、教育費の高騰、将来への不透明感。「頑張れば報われる」という前提が通用しなくなりつつある現代、家計の綱渡りを続ける中間層のリアルに迫ります。 

 

東京都内に暮らす会社員・見沢俊哉さん(仮名・44歳)は、妻と中高生の子ども2人を抱える4人家族。現在の年収は約450万円、手取りは月28万円ほどです。実家の近くにあった中古の一軒家を30歳で購入し、3,500万円・35年ローンを組みました。 

 

「今で14年目ですが、まだ返済は半分にも達していません。月10万円の支払いが重く感じられる日もあります。覚悟を持って買ったつもりでしたが、先が見えない長さに、正直、気が滅入ります」 

 

購入当時は2人目の子ができたタイミングで、「家を買って一人前」という気持ちにも後押しされたといいます。 

 

「今思えば、勢いだけでしたね。結婚や住宅購入って、ある程度“ノリ”がないと進められない。でも、その代償が今きている気がします」 

 

一番の誤算は、子どもの教育費でした。 

 

「『公立に通わせれば何とかなる』と楽観していました。でも、実際には高校・中学ともに塾代がすごくかかる。2人合わせて月15万円。親からの援助がなければ、とっくに破綻しています」 

 

実家からは月5万円の仕送りを受けており、それを塾代の一部に充てていますが、それでも足りません。 

 

「妻はパートで月6〜7万円ほど稼いでくれていますが、扶養内ギリギリです。僕の小遣いはゼロ。食費は6万円に抑えていますが、それでも生活は綱渡り。親の援助がなかったら……正直、もう回っていないと思います」 

 

年収450万円と聞くと、中央値から見て特別に低いわけではありません。にもかかわらず、生活は極めて不安定です。 

 

「老後の不安? そんな余裕はないですよ。むしろ“今この生活がもう限界”です。住宅ローンはあと21年残っていて、子どもが大学を出るまであと10年。その間に親の介護が重なったら、とても耐えきれません」 

 

親の年金や貯金の詳細は聞いておらず、介護費をどれくらい負担することになるのか、想像もつかないといいます。 

 

「今は親に援助してもらっている立場だから強くは言えませんけど、いずれはこちらが支える番になるでしょう。でも、家計はもう限界ギリギリです」 

 

 

さらに見沢さんにはもう一つ、大きな不安があります。 

 

「自分の会社がこの先20年、持つ保証はないんですよ。業績は良くないし、自分のポジションが残るとも限らない。退職金があるうちに早期退職を選ぶという選択肢もないわけじゃないけど、転職先の当てはまったくないです」 

 

かつては「家があればなんとかなる」「正社員なら安心」と考えていた価値観が、もはや通用しなくなっている実感があります。 

 

「普通に働いて、節約して、贅沢もしない。それでも報われない。これって、どこで間違えたんでしょうね?」 

 

国土交通省『令和5年度 住宅市場動向調査』によると、住宅ローンの年間返済額は全国平均で約155万円、三大都市圏では約180万円に上ります。これは月平均にして13〜15万円という計算で、見沢さんのように10万円台の返済であっても、家計に占める比重は決して小さくありません。 

 

加えて、教育費の負担も年々増加しています。公立中高でも塾代が年間数十万円に上るケースは珍しくなく、子どもが2人以上いる家庭ではなおさらです。 

 

「ウチって別に贅沢してないんです。旅行も年に1回行けるかどうか。外食だって月に2回くらい。それでも、家計は回りません。もう、どこまで落ちたらいいんですかね……」 

 

そう語る見沢さんの言葉には、怒りというよりも深い疲弊と諦めがにじんでいました。豊かではなくても“人並み”の暮らしが送れる——そう信じてきた人々にとって、今の社会は、あまりに冷たく感じられるのかもしれません。 

 

THE GOLD ONLINE編集部 

 

 

 
 

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