( 327158 )  2025/09/25 06:18:41  
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(ブルームバーグ): 自民党の高市早苗前経済安全保障担当相は24日、財政・金融政策の方向性を決める責任は政府にあるが、金融政策の手段は日銀が決めるべきだとの考えを示した。 

 

日本記者クラブの総裁選立候補者による討論会で、昨年9月の総裁選時に「金利を今、上げるのはあほやと思う」と発言したことについて自身の考えを説明した。高市氏は政策金利が急激に上がった場合、企業が投資に「お金を回せるのか」、住宅ローン金利に支払いで「若い方がお困りになるのではないか」との懸念を示した。 

 

積極財政路線を掲げる自身の政策がインフレを加速させるかとの指摘に対しては、「家計支援と供給力投資、これを同時に行うということで、賃金主導の緩やかなインフレに移行させる」と説明した。 

 

日銀は19日の会合で政策金利の維持を決めたが、利上げを主張した2人の委員が反対している。高市氏は日銀を厳しく批判した昨年のような発言は控えたものの、投資などへの影響を指摘することで利上げペースを加速させないよう改めてけん制した形だ。 

 

総裁選には高市氏に加え、小泉進次郎農相、林芳正官房長官、小林鷹之元経済安保相、茂木敏充前幹事長の計5人が立候補した。世論調査で人気の高い高市、小泉両氏は有力候補とみられている。 

 

金融政策について小泉氏は20日の記者会見で、日銀の専権事項とした上で、日銀と政府が物価安定と経済成長に向けて歩調を合わせることが重要だとの見解を示していた。 

 

財政政策 

 

「責任ある積極財政」を掲げる高市氏は物価高対策の財源に関し、必要なら赤字国債発行も辞さない考えを示していた。 

 

日本記者クラブでは財政に関する考え方を問われ、「日本の国債は9割以上を国内投資家が保有して、最も世界で安定した債券市場の一つだ」と指摘。赤字国債を増発した場合でも、名目成長率が国債金利を上回る状況を維持できれば債務残高の対国内総生産(GDP)比は自然に安定するとの見解を示した。 

 

 

「財政の持続可能性というものを重視する」とも発言。債務残高の対GDP比を緩やかに下げていく工夫も必要だと述べた。 

 

討論会の質疑応答では物価高対策について野党が主張する消費税減税の扱いも取り上げられた。小泉氏はシステム改修に時間がかかるなどの課題を挙げつつ、「選択肢を否定せず、まずは協議する」と述べた。 

 

自身も参院選前に食料品への消費税率を0%にするよう主張していた高市氏は、「党内で合意ができないと、他党とも話ができない」とし、自民内での合意形成が必要との見解を強調した。 

 

各種調査などで小泉氏の優勢が伝わっている。24日の債券相場は、総裁選の議論で財政拡張に対する警戒感が後退していることなどから長期債中心に上昇(利回りは低下)した。円は1ドル=148円台に下落。株式は続伸した。 

 

三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは「高市氏の総裁選勝利はメインシナリオでないことに加え、従来に比べ発言がトーンダウンしているので、それほど影響はない」との見方を示した。 

 

--取材協力:日高正裕. 

 

(c)2025 Bloomberg L.P. 

 

Takashi Umekawa 

 

 

 
 

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