( 327263 ) 2025/09/26 03:56:29 0 00 (写真:時事通信)
「高市早苗、奈良の女です!大和国で育ちました」
9月22日、自民党本部で行われた総裁選の所見発表演説で、開口一番こう述べたのは高市早苗前経済安保相(64)。続けて、声に抑揚をつけながら「万葉集」に収録された大伴家持の和歌を詠んだ。
「高円(たかまど)の 秋野の上の 朝霧に 妻呼ぶ雄鹿 出で立つらむか」
奈良とシカのかかわりは長く、1300年以上にわたって共存してきた。高市氏も、そんな地元・奈良の歴史が誇らしいのか「1300年も前から奈良にはシカがいて、それも夫婦仲睦まじいシカがいて、歌になっていたということがわかります」と目を細めていた。ところが、この直後にトーンを急変させ、以下のように訴えた。
「そんな奈良のシカをですよ!足で蹴り上げる、とんでもない人がいます。殴って、怖がらせる人がいます。外国から観光に来て、日本人が大切にしているものを、わざと痛めつけようとする人がいるんだとすれば、皆さん、何かが行き過ぎている。そう思われませんか?SNSでも目にしますよね。
神社の鳥居を鉄棒のように見立てて、ぶら下がって遊ぶ観光客がいるとか。神社を何と思っとるんでしょうか。古いものが大切にされているところに、日本人の気持ちをふみにじって喜ぶ外国人が来るなら、何かをしないといけません」
高市氏は、インバウンド自体は歓迎しており、外国人の働き手は必要だとしつつも、「ゆっくり進めていかなあきません」と主張。日本人が“不公平”だと感じる事案が、外国人の増加に伴って増えていると話し、外国人との穏やかな共存関係をいかに築くかを“ゼロベース”で考えていくとの方針を示した。
そのほか、「高市は、日本の経済をこうやって伸ばす、勢いをつける。そういうことなら詳細にお話しすることができます。1時間でも、2時間でも。皆さんご承知やと思います」とぶち上げるも、この日は具体的な経済政策に踏み込む場面はなかった。演説の前日が安倍晋三元首相の誕生日だったことにも触れ、安倍氏の内閣・党の人事は「見習うべき点がある」とも話していた。
保守的な訴えを熱弁した高市氏だったが、SNSを中心に世間を驚かせたのは、冒頭から「奈良のシカ」の話題を持ち出したことだった。
へずまりゅう奈良市議会議員の影響もあり、シカを見に奈良公園を訪れる観光客の様子は連日のようにXで拡散されている。
ただ、東京新聞は23日の朝刊で、高市氏の「シカ発言」に触れ、奈良県担当者の証言として《行為者が誰であるか、外国人であるかどうかは特定されていない》と報道。担当者は取材に対し、シカに対する外国人の暴行が横行している事実はないとも説明したという。
そして、24日、日本記者クラブ主催の公開討論会では、所見演説中の高市氏の発言の真意を記者が問う場面があった。外国人観光客がシカを蹴り上げたり、神社の鳥居に掴まるような行為が見られたとの主張について、「根拠はあったのか。(SNSで)動画は流されているようだが、確かめたのか」と問われると、高市氏は以下のように返答した。
「自分なりに確認いたしました。奈良公園のシカも被害を受けていますし、落書き、(鳥居を)鉄棒のように使っているというもの。こういうものが流布されていることによる、私たちの不安感、怒りがある。これは確かなことだと思っています」
続けて、目を見開いて「一番話したいことは、いつも経済政策です!」と訴えると「成長のための取り組み、これが一番申し上げたいことなのですが、(19日の出馬会見で)それは“お腹いっぱい”申し上げました。あの時(所見演説)は、そこで言い切れなかった、静かに沸々と多くの日本人の中に芽生えている不安や怒り。それをどう改善していくか、そこにも取り組みたいという思いを申し上げました」とシカの話題を持ち出した理由を説明した。
ただ、力強い言葉とは裏腹に、具体的な根拠を問われながらも、「自分なりに」とあいまいな回答に終始する高市氏に、Xでは「説明不足」を指摘する声が一部で起こった。
《「自分なりに確認をした」そういうの根拠って言わねえし》 《客観的な根拠を求められて「自分なりに」は無い》 《「自分なりに確認した」えっ?どこに確認したんですか?》 《被害はあったと断言するも、何に確認をとったのか、情報源は何かは答えず。記者も追求せず次の質問へ。物足りない》 《奈良での外人による鹿虐待の件の根拠は?と聞かれて、なんかうやむやにして、経済浮揚課題について話し出した》
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