( 327373 ) 2025/09/26 06:07:34 0 00 石破茂首相.
(ブルームバーグ): 自民党総裁選では退陣を表明した石破茂首相が昨年獲得した票の動向が結果を左右する可能性がある。首相は政権を支えた小泉進次郎農相、林芳正官房長官の2人を後押しする考えをにじませており、両氏も呼応する動きを見せる。
「1年間共に汗し、共に涙してきた方々が多くの支持を得られることを個人的には望む」。 石破首相は24日、米ニューヨークでの記者会見で、総裁選で政権を支えた候補の当選に期待感を示した。
日米関税交渉、賃上げ、防災庁設立、地方創生。自身が取り組んだ政策を列挙し、一連の改革の「不可逆性をいかにして担保するか」について総裁選で論じられることが重要だとも指摘し、路線の継承を求めた。
9人が出馬した前回の総裁選で首相は1回目の投票で、党員で108票とトップだった高市早苗前経済安全保障担当相の109票と僅差の2位。国会議員票は46票と小泉氏の75票、高市氏の72票に続く3位だった。合計で2位だった首相は決選投票で高市氏を逆転し、総裁の座を射止めた。
今回の総裁選に立候補した小泉、林、高市各氏と、小林鷹之元経済安保相、茂木敏充前幹事長の5人は、いずれも昨年の総裁選にも立候補している。今回は衆参両院選で議席数が減ったため、議員票、党員票それぞれ295票となる。前回は議員票、党員票それぞれ368票を争った。
推薦人
「石破票」の取り込みに熱心なのは小泉、林の両陣営だ。石破首相の側近議員や閣僚として政権を支えたメンバーも推薦人に名を連ね、首相の重視した政策を継承する姿勢を示している。
林氏には中谷元・防衛相や首相に近い舞立昇治参院議員、小泉氏には伊東良孝地方創生担当相、三原じゅん子こども政策担当相らが推薦人に名前を連ねた。加藤勝信財務相は前回は自ら立候補していたが、今回は小泉氏の推薦人代表だ。
政策面でも配慮を見せる。林氏は「1%の実質賃金上昇の定着」や地方創生、防災庁の設置など首相が重視した課題を総裁選挙管理委員会に提出した所見に盛り込んだ。小泉氏もコメ増産や専任の大臣の下での防災庁を26年度に設置すると明記した。
林氏は18日の記者会見で、官房長官として支えた岸田文雄、石破両政権の「流れを受け継ぎ」ながら、さらに新しいものを付け加えていきたいと言明。小泉氏は22日の所見発表演説会で冒頭、石破首相について「野党との対話を通じて政治を前に進めた」として「心からの敬意を表する」とねぎらった。
戦後80年見解
高市、小林、茂木の3氏は石破政権の約1年間は要職につかず、距離を置いていた。特に小林、茂木両氏は7月の参院選大敗を受け、首相に退陣を促す発言をしていた。高市氏も含め、3氏とも首相の辞任表明後は表立った批判を抑制していた。
ただ、首相が24日の記者会見で、戦後80年に当たり、自分なりの「メッセージ」を発表する考えを表明したことに対し、党内の保守系議員が反発。高市、小林両氏も疑問を投げ掛け、同見解を巡る対応が総裁選の新たな争点に浮上しつつある。
首相は「戦争の記憶を決して風化させず、二度と戦争を起こさないという観点」が重要だと指摘したが、高市氏を支持する山田宏参院議員はX(旧ツイッター)に退陣直前の首相による見解の発表に反対すると投稿した。
共同通信によると、高市氏は安倍晋三政権が2015年に公表した戦後70年談話を挙げ、これ以上のメッセージは必要ないと指摘。小林氏も、必要性に乏しいのではないかとの認識を示した。両氏はそれぞれ記者団に語ったという。
朝日新聞が20、21両日に行った世論調査では新しい総裁に誰がふさわしいと思うかとの問いに、高市氏と回答した人が28%とトップで小泉氏の24%、林氏の9%が続いた。共同通信による11、12両日の調査では高市氏が28.0%、小泉氏22.5%、林氏11.4%だった。
(c)2025 Bloomberg L.P.
Takashi Hirokawa
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