( 327483 )  2025/09/27 03:36:03  
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辞任はあるのか 

 

群馬県前橋市の小川晶市長(42)が市幹部職員の既婚男性と足繫くラブホテルに通っていた問題で、小川市長は9月26日、市議らに対し辞任せず続投する意向を示唆した。報道が「こんなに過熱するとは」との反応もみせたといい、メディアからの質問を拒み始めた。“市民派市長”の逸脱に、支援した革新系会派は「ダメージは計り知れない」と頭を抱えている。  

 

9月26日は定例市議会の最終日で本会議が開かれた。生気のない顔で小川市長が席に着こうとしたとき、傍聴席から一人の高齢男性が「恥を知れ!」と罵声を飛ばした。 

 

さらに、議案裁決を前にした討論で最初に登壇した共産党の小林久子市議がいきなり退陣要求を突きつけた。 

 

「小川市長が一昨日、記者会見で謝罪した問題は社会的、道義的にも、市民や市職員、関係者の方々の信頼を大きく裏切るものです。小川市長は、しっかりと説明責任を果たすとともに、市行政のトップとしての自らの出所進退を早急に明らかにすることを求めるものです」 

 

小川市長は伏し目がちに感情をさとられないようやり過ごした。その後、自民党系の最大会派「前橋高志会」の新井美加市議が「過日の記者会見以降、一斉に混乱をきたしていますが、市民の皆様にしっかり説明を尽くし、市政の安定をお願いするものであります」とやんわりと対応を要求。 

 

公明党の中里武市議も一般論の体裁を取りながら「市政執行にあって市長として最も重要なことは自らを律し市民の声を敏感に受け止めなくてはなりません。市民の信頼を失えばそこで市政は成り立たなくなってしまいます」と警告を出した。 

 

小川市長は終盤、追加議案を説明する機会に「冒頭に、私に関する一連の報道によりまして、市民の皆様に多大なるご迷惑をおかけしておりますこと、深くお詫びを申し上げます。また、先程各会派からいただきましたご意見につきましては、真摯に受け止め、議員の皆様には改めて説明の機会をいただきたいと思います」と発言。 

 

“真摯に受け止める”という、不祥事を追及される政治家が最近好むテッパンのフレーズを用いたのが印象的だ。 

 

 

 議会終了から約20分後、小川市長は報道陣の前に現れたが、司会の職員が「質問は受けない」と言ったのに続き「ただいま、議員の皆様に今回の件について説明をさせていただきました。一昨日ですね、記者会見でお話をした内容と同じ内容になりますけれども、議会の皆さんにも色々とご意見をいただきまして、今後のことについても考えていきたいというふうに思っております。私からは以上です」と話し、一方的に話を打ち切った。 

 

小川市長は「今後のこと」を考えると言ったが、この直前に全市議に対して行なった10分程度の説明の場で、続投の意向を匂わせていたことが分かった。富田公隆議長が内容を話した。 

 

「(小川市長からは)『しっかりと反省しながら、市民のためにですね、引き続き力を尽くしてまいりたい』『できるだけ早く通常の市政に戻していきたい』という言葉がありました」(富田議長) 

 

小川市長は市議らを前に「公人として本当に自覚が足りなかった」と反省の弁を述べ、「市民の方にショックを与えたのは本当に申し訳ないと思っている」と謝罪も口にしたが、今回の報道を見て「これほどの過熱した報道になるとは思ってもいなかった」とも口にしたという。 

 

こうした言葉を聞いた市議らからは、 

 

「就任してから1年7か月、多くの市民から信託を受け市民のために働いてくれる市長ということで応援してきたけれど、このダメージは計り知れない。市民もわれわれも相当ダメージになっている」 

 

「ラブホテルっていう言葉もあるけどスキャンダルの内容が政治家としてのレベルを逸してる」 

 

との不満が続出したという。 

 

小川氏は市政刷新の象徴ともいえる市長デビューを果たした人物。それだけに今回の余波は大きい。県内の連合関係者がその事情を話す。 

 

「群馬県は中曽根康弘首相や福田赳夫元首相らが輩出した保守王国ですが、強固な鉄道労組組織などを地盤に旧社会党系も一定の力を持っています。そんな群馬の県庁所在地である前橋市で、昨年2月の市長選では、3期務め自公が推した前市長・山本龍氏を連合や旧社会党系組織、共産党などが推した小川さんが破って当選したんです。久しぶりの大勝利に関係者は泣いて喜んだものです」 

 

 

その革新陣営のホープがしでかしたスキャンダルに早くも共産党は辞任を要求。いっぽう、別の親市長系会派は「われわれとしては、市長の言葉を信じていきたい」と表明したというが、もはや支持基盤も崩壊。 

 

こうした中、小川氏に選挙で敗れた前市長・山本龍氏は何を思うのか。山本氏を直撃した。 

 

––––今回の騒動をどう受け止めていますか? 

 

市長として謝罪なり具体的な説明なり、今後されるのではないでしょうか。そこは、一定の信頼を持って見つめています。これだけの騒ぎになっているわけですから、そこは市長として当然のことです。先日の会見では説明が足りないのは自明です。 

 

2日で1500件を超える問い合わせがあり、市役所職員がいま大変な思いをしています。それだけ市民が不安を抱えているということです。早く説明責任を果たし市民に安心を与えるべきだと思いますね。 

 

––––小川市長が辞職し市長選になったら出馬しますか? 

 

立候補の意思はありません。 

 

                   ※ 

 

小川市長は果たして早期に引責辞任し出直し市長選が行なわれるのか。それとも、他の自治体で頻発している“疑惑の首長の居座り”が前橋でも起きるのか――。 

 

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班 

 

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