小泉農相は、農林水産省が高級ブドウ「シャインマスカット」のニュージーランドでの生産許可を慎重に検討していると述べ、産地の理解を重視する姿勢を見せた。

山梨県知事らが見直しを求めている中、シャインマスカットは無断で海外に流出し、競合の懸念が高まっている。

今年4月に決定された基本計画では、国産品種の海外生産を推進し、不正流出を抑えることが目的とされている。

小泉氏は、農産物の正当性を強調しながらも、産地への説明を重要視すると述べた。

（要約）

自民党の両院議員総会を終え、党本部を出る小泉農相（２日） 

　小泉農相は２６日の閣議後記者会見で、農林水産省が高級ブドウ「シャインマスカット」のニュージーランドでの生産許可を検討していることについて、「産地の理解がないまま進めることは全くない」と述べ、慎重に判断する姿勢を示した。 

　主産地である山梨県の長崎幸太郎知事らが２５日、小泉氏に対し、見直しを求めていた。 

　シャインマスカットは農業・食品産業技術総合研究機構（農研機構）が開発した品種で、種苗法に基づき、苗木を許可なく海外に持ち出すことが禁止されている。しかし中国や韓国に流出し、無断栽培によってアジア市場で日本産が競合する事態となっている。 

　今年４月に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」は、違法な流出を防ぐ目的で国産の優良品種の海外での生産を掲げた。ライセンス料の確保に加え、無断栽培の監視を強化し、品質を担保する狙いがある。 

　小泉氏は「適切な契約のもとで日本産の正当性を主張する一つの手段だ。産地への説明は不可欠で、輸出の後押しもしていきたい」と述べた。