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生活保護を受給中の世帯には2025年10月から、生活扶助基準額に月額500円が加算される特例措置が2年間実施されます。

これにより、2023年・2024年の1000円の特別加算と合わせて、合計で月額1500円が加算されることになります。

生活保護は、生活困窮者に対する支援制度であり、支給には定められた要件を満たす必要があります。

 

 

生活保護には8つの扶助があり、特に多くの世帯が受給する生活扶助が対象です。

支給額は居住地域や世帯状況に応じて異なり、物価に応じた見直しが行われることがあります。

加算措置は2年間の予定ですが、今後の経済状況次第で継続される可能性もあります。

なお、生活保護の受給は一般世帯には適用されません。

制度の持続性や柔軟な対応が求められています。

(要約)

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yoshi0511/shutterstock.com 

 

生活保護を受給中の世帯に対し、2025年10月から、生活扶助基準額に月額500円が加算される特例措置が2年間実施されます。 

 

すでに2023年・2024年の2年間にわたり、1000円の特別加算がなされていますが、さらに500円増額されることで月額1500円が加算されることになります。 

 

この記事では、生活保護制度について再確認するとともに、生活扶助の特例加算の概要について詳しく解説していきます。 

 

※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。 

 

生活保護とは、生活が困窮している世帯に対し、困窮の度合いに応じて必要な保護を行う制度です。 

 

「健康で文化的な最低限度の生活」を保障し、自立に向けてサポートすることを目的としています。 

 

●生活保護を受給できる要件 

生活保護を受給するには一定の要件を満たしている必要があり、要件を満たしても生活が苦しい場合に支給対象となります。主な要件は以下の通りです。 

 

【資産の活用】 

 

 ・預貯金や生活に利用していない土地・家屋などを保有している場合は、売却するなどして資金化し、生活費に充てること 

【能力の活用】 

 

 ・働ける場合は、健康状態や年齢など能力に応じて働くこと 

【他の制度を優先して活用】 

 

 ・公的年金や手当など、ほかの制度で給付を受けられる場合は、それらを優先して活用すること 

【扶養義務者の援助を優先】 

 

 ・親や子ども、兄弟などの扶養義務者から援助を受けられる場合は、生活保護よりそれらが優先される 

●生活保護には8種類の扶助がある 

生活保護には8つの扶助種類があり、世帯状況に応じて適切な扶助が支給されます。8つの扶助項目と内容は以下の通りです。 

 

 ・生活扶助:食費や水道光熱費などの日常生活に必要な費用 

 ・住宅扶助:アパートなど賃貸物件の家賃 

 ・教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費 

 ・医療扶助:医療機関を受診した際の費用 

 ・介護扶助:介護サービスを利用した際の費用 

 ・出産扶助:出産費用 

 ・生業扶助:就労に必要な技能を修得するために要する費用 

 ・葬祭扶助:葬祭費用 

これら8つの扶助項目のうち、多くの世帯が受給するのが生活扶助です。 

 

そしてこの生活扶助が、2025年10月から500円上乗せ支給されることになっています。 

 

 

生活扶助の基準額は、居住しているエリアや世帯人数、世帯員の年齢などによって計算され、生活保護未支給の低所得世帯の消費実態に合わせるため、5年ごとに見直しが行われています。 

 

2022年の見直しの際には、物価高騰への対策として、2023年度と2024年度の2年間にわたり月額1000円が一律加算されました。 

 

なお、見直しにより基準額が下がる世帯には、元の支給水準のまま据え置かれる措置が取られました。 

 

そして厚生労働省は、加速する物価高騰などを理由とし、生活扶助の特例加算を2025年と2026年の2年間、さらに500円上乗せして支給することを決定しました。 

 

つまり、2025年10月からは月額1500円が加算されるということです。 

 

500円を加算をしても見直し前より基準額が減少する世帯には、これまでの支給水準が据え置かれます。 

 

500円の追加加算は2年間の予定とされており、2027年度以降に関しては、改めて検討される予定です。 

 

現在のような物価高騰にある場合、再度加算措置が取られる可能性もあるでしょう。 

 

生活保護費はどのように計算されるのか、また、世帯ごとの支給額の目安を確認していきましょう。 

 

●最低生活費から「収入を差し引いた差額」が保護費として支給 

生活保護費は、厚生労働大臣が定めた基準により計算された「最低生活費」と収入を比べ、収入が最低生活費に満たない場合に、その差額が支給される仕組みです。 

 

そのため、どんなに「生活が苦しい」と感じても、収入が保護基準額を超えていると生活保護は受けられません。 

 

なお、収入とは、給与などの勤労収入や自営業の収入、不動産収入、年金、贈与、保険金などが該当します。 

 

また、生活保護費は世帯構成や世帯員の年齢だけでなく、お住いのエリア(「級地区分」)によっても金額が異なります。 

 

級地区分とは、地域ごとの物価や生活水準の差を生活保護の基準額に反映させるための仕組みで、全国を1級地から3級地の3つに区分し、さらにそれぞれを2つずつ区分しています。1級地は東京23区や横浜市、大阪市などの大都市が該当します。 

 

●生活保護費の「支給額の目安」 

厚生労働省では生活保護の支給水準について、いくつかの世帯を例にとって、具体的な支給額を公表しています。 

 

主なケースは次の通りです。 

 

【最低生活保障水準】 

世帯ケース/ 1級地-1/ 2級地-1/ 3級地-1 

 

 ・3人世帯(33歳、29歳、4歳)/23万4660円/20万3250円/19万4050円 

 ・母子3人世帯(30歳、4歳、2歳)/26万6020円/23万3600円/22万2900円 

 ・高齢者夫婦世帯(68歳、65歳)/18万6460円/15万9790円/15万2760円 

 ・高齢者単身世帯(68歳)/13万1680円/10万9090円/10万3770円 

例えば、3人世帯の最低生活保障水準は、1級地-1のエリアに住んでいる場合は月額23万4660円が目安となりますが、3級地-1のエリアに住んでいる場合は19万4050円となり、約4万円少なくなります。 

 

都市部の方が物価や家賃などが高額な傾向があるため、支給額も高額になります。 

 

 

2023年・2024年の2年間、生活扶助の特例加算が1000円支給される措置が取られましたが、2025年10月からはさらに500円増額され、月額1500円が支給されます。 

 

この措置は、物価高騰などによる低所得世帯の経済的な負担を軽減するためのものであり、2年間経過後も同じような経済状況にあれば、継続支給される可能性があります。 

 

しかし、受給できるのは生活保護受給世帯のみであり、一般の世帯では受給できません。 

 

物価高騰は一般の世帯にも重くのしかかる問題であり、経済的な苦しさを感じているのは生活保護受給世帯だけではないでしょう。 

 

制度の持続性をどう確保していくのか、また経済状況に応じた機動的な対応についても問われていくことが考えられます。 

 

 ・厚生労働省「令和5年度以降の生活扶助基準の見直しについて」 

 ・厚生労働省「生活保護制度の概要等について」 

 ・厚生労働省「生活保護制度」 

 

木内 菜穂子 

 

 

 
 

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