( 327788 ) 2025/09/28 04:45:30 0 00 自民党総裁選では、7月の参院選で争点の一つとなった外国人政策を巡る論戦が活発に行われている。
外国人による不動産の取得規制を打ち出したのは、小林鷹之・元経済安全保障相と、高市早苗・前経済安保相だ。外国の法人・個人による土地やマンションの購入増加は、全国で価格の高騰を招いており、安全保障の観点からも懸念する声が出ている。
小林氏は「安全保障上、重要な土地や、住居用の不動産の取得の規制を強化する」と表明した。
高市氏は2011年に一定の規制をかける法案の制定を目指したが、日本が世界貿易機関(WTO)の協定の締結時に「日本人と外国人の待遇に格差を設けない」としたことが障壁になったと説明。WTO加盟国との交渉などを進め、「土地建物の取得にルールを設ける」と主張する。
茂木敏充・前幹事長は、土地の取得を「一元的に管理して透明性を高め、不当な問題に厳しく対処する」と訴える。農地の取得申請時には国籍の届け出が義務化されており、林芳正官房長官は「他の土地についても、国籍を書いてもらって実態を把握」する案に言及している。
小泉進次郎農相は、不動産取得の透明化のほか、医療保険や児童手当などの制度の不適切利用の是正を挙げ、「徹底した実態把握、ルールの見直しを含め、年内にアクションプランを作る」と宣言した。
政府は7月、外国人に関する課題に取り組む司令塔組織を新設した。小泉氏は「司令塔機能を強化し、首相が主導する態勢を構築する」と掲げた。高市氏も「必要な課題を洗い出し、解決するための法整備まで進められる司令塔を作りたい」と提唱する。
人手不足が深刻化する中、政府は外国人労働者の受け入れを進めてきた。19年には「特定技能」の在留資格を創設し、農業や介護、建設業などの分野で受け入れにかじを切った。
特定技能では、5年間の受け入れ人数に上限を設定しており、27年4月に外国人技能実習制度に代わって開始する「育成就労」でも上限を設ける方針だ。ただ、その他の在留資格では上限がない。政府内では、外国人の受け入れ人数に一定の上限を設けるべきだとの意見があり、8月から検討を始めている。
野党の中にも、外国人の受け入れ抑制を求める動きがある。日本維新の会は9月、人口に占める外国人比率の抑制や、受け入れ数の総量規制を政府に提言した。林氏は維新幹部との対談動画で、「トータルで見て、しっかり(増加の)速度を調整する考え方はそろそろ国がやらなければいけないのかなと思う」と前向きな姿勢を示した。
小林氏も、日本人がより働ける環境整備やデジタル化を進め、「できる限り外国人労働者への依存度を低減させていければいい」との考えを述べている。
すでに日本社会では、外国人は、人手不足を補う貴重な支え手となっている。排外主義的な主張に同調することなく、外国人と共生するためのルール作りなど、具体論を語ってほしい。(政治部 鶴田瑛子)
自民党総裁選2025
自民党総裁選に立候補した5氏が政策論戦を展開している。今後の日本の針路となりうるそれぞれの主張を分析する。
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