( 327853 ) 2025/09/28 06:01:08 0 00 7月にJR田町駅東口に設置されたポールと路面の矢印
東京都港区のJR田町駅東口で、通勤ピーク時の混雑が利用客の安全を脅かしている。駅に向かう人と対向者の接触が相次ぎ、中にはトラブルに発展したケースも。駅側も動線確保のためのポールや看板を設置して混雑解消を試みるが、今のところ根本的な解決には至っていない。
「人とぶつかって毎日イライラする」「子供も利用しているのに危険だ」
港区には1年半前ごろから、田町駅利用者からのこうした声が多数寄せられるようになった。
区開発指導課によると、苦情は今年(9月中旬時点)だけでもすでに約60件。接触した相手に暴力を振るわれたとする過去のトラブルも区で把握しているという。
毎朝駅を利用するという30代の女性会社員は「朝のピーク時は、人に接触せずに駅に着くことはまずないような状況だった。接触してきた高齢女性からにらまれたこともある」と話す。
■原因は拡張工事
同駅は線路をまたぐ構造で東西に出入り口が設けられており、東口には2階部分と地上を結ぶエスカレーターが南北2カ所に設置されていた。だが令和5年11月、駅周辺の再開発に伴う通路拡張工事で北側エスカレーターが撤去され、南側に利用者が集中。特に午前8~9時の通勤ピーク時には駅から大量の利用者が市街へと流れ出し、駅に向かう人の通り道がほとんどない状態が慢性化した。
区によると、通勤ピーク時には2万人以上が駅東口を利用する。区担当者は「(エスカレーターが)撤去された側に階段は残っているが、利用者が想定以上に滞って大混雑を引き起こしている」と話す。
■ポスターで呼びかけ
こうした状況に、区や駅周辺の開発事業者も対策を講じた。
今年7月には、開発事業者が区からの要請で駅東口にポールを設置し、路面の矢印でも対向する利用者の動線を明確に区分。さらに、可能な限りピークの駅利用を控えるようポスターなどで呼びかけを始めた。
区はこうした対策は一定の効果があったとする。だが、以降も「少し緩和されたが大きくは改善していない」などとする意見も寄せられているという。
拡張工事が終わるのは11年3月末の予定。それまで、新たな階段やエスカレーターが設置される見込みはないといい、区の担当者は「ポールの設置方法をさらに工夫するなど、今後も状況を精査した上で改善策を講じていく」としている。(桑波田仰太)
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