( 328063 ) 2025/09/29 05:22:48 0 00 セルフレジに苦手意識を持つ人はまだまだ多いようだ(イメージ)
今や珍しくなくなったセルフレジ。現金のやり取りによるトラブル防止、人件費削減などの効果も期待でき、導入が進む理由は理解できるが、「セルフレジは苦手」という利用者も少なくない。一方で、事前の注文と同時に会計を済ませる券売機が苦手だという声は、あまり聞こえてこない。店員を介さずに自分で会計を済ますという意味ではセルフレジも券売機も同じだが、セルフレジは苦手だと感じる人たちは、一体何が「壁」なのか。消費者たちの本音に迫った。
都内に住む会社員のAさん(40代男性)は独身で、食事はほぼ外食。ラーメン店や定食店、牛丼チェーンなどによく行くという。
「先日、ある定食チェーンに行ったら、これまでずっと券売機による食券制だったのが、テーブルのタブレットで注文し、後からセルフレジで会計するシステムに変わっていました。それだけで、今後は行くのが億劫になるなあと感じました」
セルフレジに変わったことの何が嫌だったのか。
「券売機もセルフレジも操作はほとんど同じですが、券売機はこれまで何度も使っているので慣れている。多少ボタンのレイアウトが変わっても、対応できます。でも、セルフレジはこれまでほとんど触ったことがないので、直感的にわからない部分があるのが怖い。
あと、券売機は手間取ったとしても、最悪何も注文せずに店を出ることができる。でもセルフレジの場合、食事をした後なので、間違えずに確実に会計を済ませなければならない。それが妙なプレッシャーです。操作がわからなくなるとイライラするし、焦ってしまう。もうちょっと、セルフレジに慣れていく必要があるとは思うのですが」(Aさん)
埼玉県在住の会社員・Bさん(50代男性)は、ウィークデーの昼食の際、飲食店を利用する機会が多い。
「いろんなお店に行きますが、最近はチェーン店だけでなく、個人経営の飲食店でもセルフレジを導入することが増えていますよね。でも、やっぱりセルフレジはあまり好きではない。セルフレジと有人レジがあったら有人レジを選ぶし、セルフレジしかないお店はあまり選ばない。でも言われてみれば、券売機は全然気にならないですね」
セルフレジと券売機の違いは“ワクワク感”だと、Bさんは話す。
「個人的に思うのは、券売機の操作をしている時間は、メニューを選んでいる時間。これから何を食べようかと考えてワクワクできる時間なので、多少操作がわかりにくくても苦ではない。券売機で食券を買う時間は、ある意味楽しい時間なんです。
でも、セルフレジはただ会計を済ますだけの時間。しかも、これまでずっと店員さんが対応してくれていたものなのに、それを自分でやらなければならないという気持ちもある。正直なところ“こっちがお金を払っている立場なのに、なんで会計を自分でやらなきゃいけないの?”と感じることもあります。今の時代“お客様は神様です”なんていう考え方が通用しないのものわかるし、自分がもっとアップデートしなければならないとは思いますが、正直セルフレジは苦手です」(Bさん)
“券売機はいいけど、セルフレジは苦手”という人がいる現状について、外食チェーンに詳しいライターの小浦大生氏はこう話す。
「ともに“操作”は大差ないのに、券売機に比べるとセルフレジのほうが嫌がられることが多いというのは、単純に券売機は以前からあるので比較的抵抗感が少ないということなのだと推察します。
一方で、タッチパネル式のものについては、券売機だろうがセルフレジだろうが、レイアウトや選択していく階層構造がわかりにくいものが多いという現実もあり、批判的な声が出てくるのは仕方ない面もあります。現状はまだ、セルフレジやタッチパネル式の券売機への移行期ということでもありますし、徐々に使いやすいものが増えてくれば、セルフレジに対する反応も変わってくるでしょう。
また、飲食店を利用する際に、店員とのコミュニケーションを重視したいというお客さんが、一定数いるのも事実です。接客の機会があることで、利用者の満足度が高まることもあります。それこそ、店員さんの気持ちのいい挨拶で、そのお店の好感度が高まることもありますし、店員と会話をしたいからそのお店に行くという人もいます。実際に、牛丼チェーンの吉野家が券売機を導入していない理由のひとつとして、お客さんと店員とのコミュニケーションを重視したいという考え方があるとも言われています。しかし、そんな吉野家でも最近ではタブレットで注文する店舗も増えていますし、飲食業界全体で自動化の方向に向かって進んでいるのも間違いない。
さらにいうと、最近は外国出身の店員も増えていて、日本語でのコミュニケーションが難しいケースもあります。そういった状況で、接客に際するトラブルを避けるという意味でも、券売機やセルフレジは重要となってくる。業務が効率化できるという以外にも、自動化のメリットがあるわけです。こういった状況の中、利用者側もそこに対応していく必要に迫られると思います」
あらゆるものが時代とともに変わっていくのは仕方ないこと。セルフレジだろうが券売機だろうが、慣れていくほかないのかもしれない。
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