( 328223 )  2025/09/30 03:59:22  
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「永住許可」が記されたパスポート 

 

 税金や社会保険料を故意に支払わない場合などに永住許可を取り消すことができる改正入管難民法の規定について、出入国在留管理庁は29日、どういう場合に適用するかの運用案を公表した。 

 

 この規定は昨年の法改正で設けられ、2027年4月に施行される。永住許可は原則10年以上在留し、法律を守り納税などをしている人に認められ、取得者は昨年末で91万8千人。ただ、更新手続きがないため、永住許可後に税金などを払わなくなる例があるという。 

 

■支払い義務の認識不明なら対象外 

 

 入管庁は29日の有識者会議で、「故意に支払わない場合」の判断基準について、(1)やむを得ない事情がないのに払わない(2)支払い義務を認識しながら払わない――の両方を満たす必要があるとの考えを示した。 

 

 (1)については具体的に、病気や災害、失業などで払えない人には適用しないとした。(2)では通知が届いていないなど、支払い義務を認識したか不明な人が除外される。 

 

■施行前の不払いでも取り返し対象に 

 

 そのうえで、(1)(2)を満たしてもただちに永住許可を取り消すわけではなく、▽滞納の回数が多く額が大きい▽今後も払う意思がないことが明らか――など悪質な人に限り取り消すと説明した。 

 

 一方で、入管庁が聴取する過程で支払いに応じるなど、悪質ではないと判断した人は、資格の更新が必要な「定住者」などに変更するとした。 

 

 また、悪質なケースでも、命に関わる重い病気で治療中の人など人道上の配慮が必要な場合は、資格の変更で対応することがあるという。 

 

 改正法には経過規定がないため、施行前の不払いも取り消し対象となり得るが、施行までに支払うなど悪質性がなければ取り消されないという。 

 

■来夏にガイドライン 

 

 こうした取り消し規定の運用について、入管庁は当事者団体などからのヒアリングも踏まえ、来年の夏にガイドライン案をまとめ、秋に最終決定する。 

 

 改正法では、在留カードの更新をしないなど入管法上の義務に反した人や、窃盗や傷害などで有罪になった人も取り消し対象とされており、それらの運用もガイドラインの中で示す。(二階堂友紀) 

 

朝日新聞社 

 

 

 
 

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