( 328498 )  2025/10/01 05:15:43  
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Photo by Koyo Yamamoto 

 

 ブリヂストンが国内の社員を対象に、2025年度に数百人規模の希望退職の募集を行ったことが分かった。石橋秀一氏は20年に最高経営責任者(CEO)に就任して以来、数々の事業売却や工場閉鎖などのリストラを断行してきたが、最終章へ突入し、“跳躍フェーズ”へ移行する。(ダイヤモンド編集部 山本興陽) 

 

● 石橋CEOによる構造改革が最終フェーズに! 総仕上げとしての国内希望退職の意味とは? 

 

 ブリヂストンの跳躍に向けたリストラは、最終章に入った。 

 

 同社は2025年度に入り、一部の社員に対して、希望退職の募集を行ったことがダイヤモンド編集部の取材で分かった。希望退職の募集は、「ネクストキャリアサポートプログラム」との名称で行われた。 

 

 本プログラムの趣旨について、「従業員のキャリア形成を支援するものであり、早期退職とは趣旨が異なるプログラム」(ブリヂストン広報部)と説明した。また、対象となる社員については、「当社で知見と経験を積み、かつ、一定の年齢、および、勤続年数等の条件を満たす者」とした。こうした文言や他社事例なども踏まえると、50歳以上など一定のキャリアを築いた社員が対象年齢とみられる。 

 

 石橋秀一最高経営責任者(CEO)は、ダイヤモンド編集部の取材に対して、本プログラムの利用者は「数百人のレベル」だと明かした。24年度の有価証券報告書によれば、ブリヂストン単体の従業員は1万4207人だ。希望退職の利用者をどんなに多く見積もっても、全社員の数パーセント程度で大規模な人員削減とはいえない。 

 

 だが、今回の希望退職の募集は、数字以上の意味がある。 

 

● 5年超にわたるリストラは最終章 「跳躍フェーズ」へと移行 

 

 石橋氏は、20年3月のCEO就任以降、5年超にわたり事業売却や工場閉鎖といった再編を進めてきた。 

 

 特に「多角化」と呼ばれる非タイヤ事業は荒療治を行った。19年度通期決算で、多角化セグメントの売上高は5883億円だったが、営業利益はわずか「1億円」だった。多角化セグメントは売上高に対して2割弱を占めたが、利益貢献は皆無であった。ここにメスを入れた。 

 

 21年には、約4000人が携わっていた自動車用シートパッドなどの化成品ソリューション事業を、投資ファンドのエンデバー・ユナイテッドに売却すると発表した。同年、こちらも約4000人が携わっていた防振ゴム事業の中国企業への売却を発表した。 

 

 また、グループ会社の整理も進め、25年6月には、ブリヂストン物流を物流大手のSBSホールディングスに売却することを発表した。 

 

 こうした一連のリストラ策は「総仕上げ」の段階にきており、国内での希望退職募集を最後に「完了」ということのようなのだ。 

 

 ダイヤモンド・オンラインで公開中の特集『ブリヂストン リストラ後の跳躍』内の記事、『【独自】ブリヂストンが国内で「数百人規模の希望退職」を募集!石橋CEOによるリストラ策を一覧にして徹底解明』《完全版》では、石橋CEO自身が、国内での希望退職募集の「理由と位置付け」を語るとともに、並行して国内で水面下で進めている再編の内容も明かしてもらう。跳躍に向けたリストラの全貌を一覧で示し、解明する。 

 

ダイヤモンド編集部/山本興陽 

 

 

 
 

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