( 328523 ) 2025/10/01 05:45:14 0 00 45歳・市役所勤め、「年収370万円」です。高校教師の同級生は「年収430万円」だそうですが、同じ公務員なのになぜ60万円も違うのでしょうか?
市役所の職員や公立高校の教師は、ともに公務員です。公務員と聞くと、給料体系が一律で、同年齢であればほとんど同じ基本給料をもらえると思うかもしれません。
しかし同じ公務員であっても、市役所の職員と学校の教師では、給料表や手当の制度が異なり、年収にも差があります。今回のケースでは、同じ45歳の同級生の間で60万円もの年収差があります。
本記事では、市役所職員と高校教師の例を基に、公務員の年収に差が出る理由について解説します。
国家公務員の給与は、法律によって決められており、人事院が毎年行う調査や勧告を受け、内閣は必要に応じて改定法律案を国会に提出し、国会での審議を経て法律が改正されることにより、国家公務員の給与が改定されます。おおむね民間企業の給与と同じ水準になるよう調整されています。
一方、地方公務員の給与の土台となるのは、地方公務員法や各地方公共団体の条例です。人事委員会が置かれている地域の場合は、人事院勧告などを考慮して人事委員会が別に勧告を行い、具体的な給与改定方針が決定します。人事委員会がない地域では、国の取扱いや都道府県の勧告などを受け、改正する仕組みです。
ここからは具体的に、市役所職員と公立の高校教師との給料差を見ていきましょう。給料データは、総務省が公表する「令和5年 地方公務員給与実態調査結果の状況」をベースとしています。
■市役所職員の平均給料月額 市役所職員(一般行政職)の平均給料月額は「31万9151円」です。給料には地域差が見られます。以下に、いくつかの都道府県における給料月額を抜粋しました。
北海道:31万7306円 福島県:32万5991円 東京都:31万6277円 静岡県:33万675円 鳥取県:31万7487円 宮崎県:31万489円
地域によって数万円の給料差があります。
■高校教師の平均給料月額 高等学校教育職の平均給料月額は「36万8818円」です。市役所職員と比較すると、4万9667円も高いです。給料差だけを12ヶ月換算すると、59万6004円もの年収差になります。
なおこちらの場合も給料に地域差がありました。いくつかの都道府県における給料月額の抜粋は、以下のとおりです。
北海道:38万711円 福島県:40万140円 東京都:34万7797円 静岡県:38万2633円 鳥取県:38万8831円 宮崎県:37万3595円
30万円台の給料が多いですが、福島県のように40万円台に達する地域もありました。
教師の給料が市役所職員の給料より高い理由として、「学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法(人材確保法)」の存在が挙げられます。
同法は、公立学校教員の給料が一般公務員の給与より下回らないことを目的に生まれたものです。同法を基にした教員への優遇措置には、「義務教育等教員特別手当」があります。
ほかに、超過勤務手当や休日給の代替手当である「教職調整額」、産業教育振興のための「産業教育手当」なども、教職員独自の手当として定められています。
個々の状況や地域差、経験差などによって給料は異なるため一概にはいえませんが、これらの手当や法的背景が、給料差を生むひとつの要因と考えられるでしょう。
市役所職員と公立高校教師はどちらも公務員ですが、平均給料月額においては、高校教師の方が高い収入を得ています。
公立学校の教職には独自の手当が定められており、この点が給料差に多少なりとも影響している可能性があります。ただし、同じ教職であっても地域差や経験などによって給料が異なるため、一概に「公立高校教師が市役所職員よりも年収が高い」とは断定できません。
出典 総務省 令和5年 地方公務員給与実態調査結果の状況 第2表の2 都道府県及び指定都市の各団体別、職種別、学歴別、経験年数別職員数及び平均給料月額(1ページ、21ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部
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